インテルの“左WB高齢化問題”を解決できる23歳 武者修行先で急成長する男とは

A・ヤングはもう35歳と若くないだけに、インテルは後釜を見つけておきたい photo/Getty Images

ヤング、ペリシッチ、コラロフはもう30代

今後スクデットを狙っていくインテルにとって、一抹の不安が残るポジションはどこか。その一つとして挙げることができるのは、左ウイングバックだろう。

現状、インテルでこのポジションを務めることができるのはアシュリー・ヤング(35)、イヴァン・ペリシッチ(31)、アレクサンダル・コラロフ(35)の3名。しかし、いずれの選手もすでに30歳を超え、ベテランの域に足を踏み入れている。彼らも奮闘はしているのだが、未来を見据えるならばネッラズーリは今のうちに若い後釜候補を育てておきたいところだ。

では、その候補としてインテルが注目すべきは誰か。一人挙げたいのは、中堅クラブへ武者修行に出ている23歳だ。その名はフェデリコ・ディマルコ。昨季途中からエラス・ヴェローナにレンタルされている同選手は、今季セリエAの舞台で着実な成長を見せている。

ディマルコの能力に関して、注目すべきはその攻撃性能。ボール奪ってから巧みな緩急を利用して左サイドを切り裂くドリブルは絶品で、その後中央へと供給されるクロスの精度も抜群だ。決して単調に放り込むだけでなく、グラウンダーでバイタルエリアに侵入してきた味方に渡す“ラストパス”のようなクロスも精度は高い。時折流れの中から見せるインナーラップによる攻撃参加も、今季ここまで8位につけるヴェローナの奮闘を支えている。

今季ヴェローナで躍動するディマルコ。そのクロス精度はリーグ随一と言っていい photo/Getty Images

注目すべきクロス精度

そんなディマルコは、アタッキングサードにおける決定的な仕事もお手の物。実は同選手、今季ここまでのセリエAにおけるキーパス数がリーグ全選手中2位にランクインしているのだ。その数は「28」。トップは好調ACミランの司令塔ハカン・チャルハノールが記録している「37」だが、登録上DFのディマルコが攻撃的MFの選手を追っているという構図は面白い。

そのほか同スタッツにおけるトップ5を見てみても、名を連ねているのは各クラブで攻撃の中心を任されている選手ばかりだ。ウディネーゼのMFロドリゴ・デ・パウル(25本)、ナポリのFWドリース・メルテンス(22本)、サッスオーロのMFフィリップ・ジュリチッチ(22本)。これを見ても、いかにディマルコがこの中で異質な存在かは見て取れるだろう。いくら今季任されているWBがSBよりも攻撃的なポジションとはいえ、無視できない数字であることは間違いない。

さらに注目したいのはクロス成功数。今季セリエAでプレイしているDF登録の選手中、ディマルコは単独トップの25本を記録している。これは2位のナポリDFマリオ・ルイ(12本)の2倍以上。その差は圧倒的だ。

「インテルの攻撃はワンパターン」。先日は伊『Corriere della Sera』がそんなことを指摘していたが、ヴェローナで多彩な武器を身につけたディマルコを呼び戻すことでその問題が解消される可能性は低くない。得意のクロスに合わせるターゲットマンも、空中戦を得意とするロメル・ルカクとラウタロ・マルティネスがいれば安心だ。時折見せる軽い守備には若干の不安が残るものの、WBでなら守備の負担はある程度減るはず。高齢化が進むインテルの左WBだが、この問題を将来的に解決するのは2020-21シーズンに武者修行先で急成長している23歳かもしれない。

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