ユヴェントスの32歳は止まらない クアドラードの“チャンスメイク力”に注目せよ

苦しい時期を乗り越え、クアドラードは今季ユヴェントスに欠かせぬ存在となっている photo/Getty Images

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ビアンコネリでは苦しい時間も長かった

元々はアタッカーの選手。しかし、チーム内での立場が変化していくなかで、ユヴェントスの32歳は新たな居場所を見つけている。イタリアの強豪では苦しい時期も経験したが、コロンビア代表MFファン・クアドラードが“アシストマシーン”として存在感を高めてきた。

思えば2015年にチェルシーから加入して以降、クアドラードのユヴェントスにおけるキャリアは我慢の連続だった。加入当初は右サイドのアタッカーとしてマッシミリアーノ・アッレグリ元監督率いるチームの重要な戦力となったが、2017-18シーズン中盤戦に恥骨炎の手術を受けて戦線を離脱すると、状況が一変。試合に絡む時間は離脱前と比べて明らかに減少し、ベンチを温める機会が増えてしまった。

そんなクアドラードに追い討ちをかけるかのごとく、クラブは2018年夏にレアル・マドリードからポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドを獲得。ビッグスターの加入によって彼は背番号を変更することとなり、どこか存在感は薄くなりつつあった。さらに、2018年12月には左膝の半月板を損傷する大怪我を負うことに。復帰までに要した4カ月という時間は、レギュラー奪回を目論む男にとってあまりにも長いものだった。
しかし、こういった逆境にもクアドラードはめげない。2019-20シーズンは出場機会を求め、マウリツィオ・サッリ監督の下でサイドバックに本格挑戦。すると、このコンバートが功を奏し、同選手はユヴェントス移籍以降最多タイとなる公式戦45試合に出場。本職のウイングでも存在感を発揮し、痒いところに手が届くユーティリティプレイヤーとしての地位を確立した。

そんなクアドラードは2020-21シーズンも絶好調。3バックと4バックを使い分けるアンドレア・ピルロ新監督の下でも、WBやSBをこなしながらチームのサイドアタックを支えている。今季は左サイドを担当する試合もあり、ますますユーティリティ性能は上がったと言っていい。

今季CLのGL第1節ディナモ・キエフ戦にて、モラタ(中央)のゴールをアシストしたクアドラード(左) photo/Getty Images

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今季アシスト量産のワケは

だが、さらに注目したいのは彼のチャンスメイク力。かねてよりその能力は高かったものの、今季におけるクアドラードのアシストペースは明らかに例年以上だ。同選手が2020-21シーズンに、ここまで公式戦14試合の出場で記録しているアシスト数は「8」。彼のキャリアハイはフィオレンティーナ時代の2013-14シーズンに記録した11アシストだが、今季はシーズン折り返し地点を前に、その数字まで早くもあと「3」に迫っているのだ。

1試合平均を計算すると、その数字は0.57アシスト。仮に昨季と同じだけの出場数を今季も得られた場合、シーズン終了時には25〜26アシストを記録する計算となる。もちろん、彼が今後もこのペースを維持できるかは誰にもわからない。しかし、興味深い数字であることは確かだ。

では、一体なぜクアドラードは今季ここまでアシストを量産することができているのだろうか。ひとつ考えられるのは、新加入選手の影響だ。今季、クアドラードが味方に提供したアシストはアルバロ・モラタ(3回)、C・ロナウド(2回)、ウェストン・マッケニー(2回)、レオナルド・ボヌッチ(1回)の順に多くなっているが、興味深いのはモラタとマッケニーの数字。昨季CFを主戦場とする選手へのアシストはゴンサロ・イグアインへの1つのみだったが、今季はその位置にいるモラタがしっかりと彼のクロスに合わせることができている。中盤から積極的にゴール前へと飛び出すマッケニーも、今季奪った2ゴールはいずれもクアドラードから。自慢の高精度クロスに反応できる選手が増えたことは、クアドラードの後押しになっていると言っていいだろう。

自身のスタイルにマッチする選手が加入したことで、今季アシストを量産することに成功しているクアドラード。はたして、この32歳は2020-21シーズンにあとどれほど味方のゴールを御膳立てすることとなるのか。“何でも屋”としても、“アシストマシーン”としてもビアンコネリに欠かせない存在となっている男の躍動には、今後も注目したいところだ。

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