[特集/混沌プレミア覇権争い 03]ケガ人続発リヴァプール これは新戦力発掘のチャンスだ

若手が好パフォーマンス 南野も新ポジションへ

CLミッティラン戦でインサイドハーフを務めた南野は及第点のパフォーマンス。ゴールも決めたが、VARで取り消された photo/Getty Images

 無類の強さを発揮して昨シーズンを制したリヴァプールが、よもやの緊急事態に陥っている。上位をキープしているが、なにしろケガ人が多い。いまはまだいいが、過密日程となる今後を乗り切れるかどうか、早くも心配する声が各方面から上がっている。

 十字靭帯を断裂したフィルジル・ファン・ダイクの復帰予定が2021年4月。膝蓋骨(ヒザのお皿)に問題があるジョー・ゴメスは2021年6月下旬で、つまり今シーズンはプレイできない。同様にヒザを痛めているアレックス・オックスレイド・チェンバレンもいまだ復帰できず、ジェーム
ズ・ミルナーもケガを抱えている。守護神アリソン・ベッカーもお尻を痛めており、全試合出場は見込めない。

 現状を踏まえて今後を考えれば、ユルゲン・クロップ監督がこれ以上のケガ人を出さないために3人交代制から5人交代制へのレギュレーション変更をリーグに進言したのは必然のことだった。「選手たちは危機に瀕している」とはクロップ監督の言葉である。

 間違いなくネガティブな状況でいろいろと言いたいことはあるだろうが、新たな選手を起用できるととらえて、ポジティブに戦っていくしかない。最終ラインではネコ・ウィリアムズ、ナサニエル・フィリップス。チアゴ・アルカンタラも離脱中の中盤ではカーティス・ジョーンズなどの出場機会が増えている。

19歳のクラークソンもフル出場。ファビーニョの後継者として期待する声もある photo/Getty Images

 言い方は悪いが、いまの状況は南野拓実にとってもチャンスである。前線での序列は後退したが、11月28日のブライトン戦、12月9日のCLのミッティラン戦ではポジションをひとつ下げ、インサイドハーフでプレイした。結果はどちらも1-1だったが、南野はこのポジションでも求められるタスクをこなし、90分間闘えることを示した。ミッティラン戦はVARで取り消された幻のゴールもあった。

 この試合では下部組織出身のレイトン・クラークソンもボランチでフル出場し、CLデビューを飾っている。「彼らなしではわれわれは敗れていただろう。うまくいったことに感謝している。彼らがしっかりと準備してくれていたから、必要なときに起用することができた」とはクロップ監督で、これからも南野を含めた多くの選手に出場機会があるだろう。

 ピンチはチャンスとはよく言ったもので、リヴァプールは選手層を厚くするチャンスを迎えている。結果、どのような成績を残すか興味あるところだ。

文/飯塚 健司

※電子マガジンtheWORLD252号、12月15日配信の記事より転載

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