いざシメオネ体制で“2度目”の栄冠奪取へ アトレティコが歩む王者への道

現時点でリーガの首位に立つアトレティコ photo/Getty Images

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赤白軍団のリーグ制覇は堅いか

2020-21シーズン、激戦が繰り広げられるリーガ・エスパニョーラを制するのは一体どのクラブか。レアル・マドリードとバルセロナの2強が序盤戦に足踏みを強いられた今季、同リーグは非常に面白いこととなっている。最近まで伏兵レアル・ソシエダがこのレースをリードしていたことも考えると、本当にどこが優勝するのか予想するのは困難。あのバルセロナが現時点で5位に甘んじているというのも、興味深い事象だ。

しかし、現時点で優勝の本命をひとつ挙げるとするならば、それはやはり首位に立つアトレティコ・マドリードとなるか。“闘将“ディエゴ・シメオネ監督に率いられる彼らは、主力が大量に入れ替わった昨季こそ優勝争うに絡むことができなかったものの、チームとしての成熟度が増した今季はここまで盤石の戦いぶりを披露している。勝ち点でこそレアルと並んでいるが、アトレティコの消化は白い巨人と比べてまだ2試合も少ない。その見た目以上に、潜在的な差はあると言っていいだろう。

もちろん、アトレティコが今後未消化の2試合をいずれも落とす可能性は否定できない。しかし、ここまでの13試合で総失点数わずか「5」の彼らが、そう易々と敗戦を喫するとは考えづらい。総得点数でもトップのバルセロナ(28得点)とはたった2ゴール差の26得点。よほどのことがない限り、アトレティコが今後首位を明け渡すことはないか。
過去のデータを見てみても、アトレティコの優位は変わらない。実は過去15年間のリーガにおいて、クリスマスの時点で首位に立っていたチームがそのまま優勝を決めた例は11回もある。実に7割以上の確率で、中盤戦にはもうそのシーズンの優勝戦線における大勢は決まっているのだ。少しオカルトチックな話かもしれないが、このデータはトップレベルの戦いにおいて大逆転というのはそれほど多く起こらないということの証左でもあるだろう。

しかし、そんなアトレティコにも一つだけ大きな不安要素がある。それは、現地時間23日にイングランドサッカー協会から来年2月28日まで活動禁止処分を受けたDFキーラン・トリッピアーの穴だ。今季は右サイドバックの主力として、リーグ戦とチャンピオンズリーグの全試合にフル出場していた同選手。しばらく右サイドのエンジンを失うことは、間違いなくアトレティコにとって大きな痛手と言えるだろう。今後は代役候補となるシメ・ヴルサリコの躍動に期待するしかないものの、トリッピアーの復帰まで怪我から復帰したばかりの彼が出ずっぱりとなる状況はできれば避けたい。補強は必須となるだろうが、その出来次第では右サイドバックが泣きどころとなる可能性は低くない。

とはいえ、現時点では十分に今季優勝候補の筆頭と言えるアトレティコ。はたして、2020-21シーズンの彼らはシメオネ体制で2度目となる栄冠を掴むことができるか。スペインの赤白軍団は着実に頂点へと近づいている。

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