ドリブルだけではアザールの“後継者”にはなれない チェルシー10番の課題

思うように結果を残せないプリシッチ photo/Getty Images

突破力は申し分ないが……

ティモ・ヴェルナー、カイ・ハフェルツ、ハキム・ツィエクと、昨夏のチェルシーは前線にトップレベルの能力を持つタレントを加えた。彼らの奮闘に期待するのはもちろんだが、やはり10番を背負う男に攻撃を引っ張ってもらいたい。

エデン・アザールから10番を受け継いだのは、現アメリカサッカー界最高のスタープレイヤーであるFWクリスティアン・プリシッチだ。

突破力は申し分ない。今季もプリシッチはプレミアリーグで1試合平均3回のドリブルを成功させており、これはリーグで4番目に多い数字だ。ドリブル成功数ランキングでは30回で11位となっているが、プリシッチはまだ696分間しかプレイしていない。トップ10の選手が全員1000分以上プレイしていることを考えると、プリシッチの数字は優れている。

問題は、その突破力が得点に繋がるかどうか。どれだけ派手なドリブル突破でも、それがシュートチャンスへ結びつかないのであれば意味がない。まだその部分でチェルシー時代のアザールとは差がある。プリシッチは今季リーグ戦で未だ1得点だ。10試合で1得点は物足りないだろう。

チェルシーで大活躍したアザール photo/Getty Images

10番にはチームを勝利へ導くプレイが求められる

まず気になるのはシュート意識だ。プリシッチは今季の1試合平均シュート数が1.8本となっているが、チェルシー時代のアザールは2018-19シーズンに2.5本、2017-18シーズンと2016-17シーズンには2.1本を記録しており、2本を上回っているシーズンが多い。プリシッチのシュート意識はまだ低いと言わざるを得ないか。

キーパス(シュートに直結するパス)にも差がある。今季のプリシッチは1試合平均0.8本のキーパスしか出せていないが、チェルシー時代のアザールは2018-19シーズンに2.6本、2017-18シーズンは2.5本、2016-17シーズンも2.4本を記録するなど、確実にチャンスを演出している。

プリシッチの場合はまだ22歳と若い。焦りすぎる必要はないが、チェルシーの10番を背負う選手にはどうしてもプレッシャーがかかるものだ。ポテンシャルは間違いないだけに、よりゴールへ繋がるプレイを増やしていくことがNEXTステップとなる。

今季は難しいかもしれないが、来季以降プレミアの頂点を狙うには10番を背負うプリシッチが決定的な働きをするしかない。ヴェルナー、ツィエクらにも負けないパフォーマンスを期待したいところで、攻撃の主役になってほしい選手だ。(データは『WhoScored.com』より)

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