“新生アトレティコ”でならば輝けるか 武者修行先で育つ20歳のテクニシャン

出場時間が少ないなかで、今季ここまで2得点を挙げる活躍も披露しているリケルメ photo/Getty Images

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英2部で奮闘する若きMF

ジョアン・フェリックスが独り立ちし、ルイス・スアレスをスカッドに加え、MFだったマルコス・ジョレンテがFWとしてその才能を開花させるなど、数年前とは攻撃陣の顔ぶれがガラリと変わった現在のアトレティコ・マドリード。アントワーヌ・グリーズマンやジエゴ・コスタが躍動していた頃のアタッカー陣も強烈ではあったが、今の彼らはその時期をも超える攻撃力を誇っていると言っても過言ではないだろう。以前までは一撃必殺のカウンターが最大の武器であるイメージも強かった同クラブ。しかし、今では前線にタメを作ることができる選手も増え、攻撃の幅は広がっている。

その証として、今季はチームの得点ペースもスカッドの大幅な改革が行われる以前の2018-19シーズンと比べて大幅に向上していることが見て取れる。当時リーガ・エスパニョーラにおける1試合平均得点が1.45点だったのに対して、2020-21シーズンに彼らがここまで記録している数字は1.93点。2シーズン前と比べて、その攻撃力は確実に増していると言っていい。

そんな“脱・カウンター戦術”に舵を取りつつあるアトレティコに、来季またも面白いアタッカーが加わることとなるかもしれない。そのアタッカーとは、今季チャンピオンシップ(英2部)のボーンマスへとレンタル移籍中のMFロドリゴ・リケルメ(20)だ。
今季、ボーンマスでは右サイドのアタッカーポジションを中心としてプレイしているリケルメ。ここまでの1試合平均出場時間は22.1分とかなり少ないものの、同選手は限られたプレイタイムの中でチームの攻撃陣にアクセントを加える存在となっている。なかでも注目したいのはそのパス成功率。出場数自体が少ないために絶対的な数字でこそ周囲に劣る彼だが、今季これまででリケルメが記録しているパス成功率は85.07%(67本中57本成功)と高い基準を維持している。これは2020-21シーズン、リーグ戦で50本以上のパスを通したボーンマス所属選手の中で最高値だという。

もちろん、パスの試行回数が他の選手よりも圧倒的に少ないことも考慮しなければいけない。しかし、激しいプレッシングを仕掛けるチームも多いチャンピオンシップにおいて、前線を主戦場とするリケルメがここまでの数値を残していることは評価すべきと言えるだろう。まだ手放しで称賛するには早すぎるが、優れた才能の片鱗はこのデータから垣間見ることができる。以前のようなカウンター主体のスタイルであれば話は別だったが、今のアトレティコであれば前線でタメを作れるリケルメは重要な戦力としてカウントすることができるか。

スペイン『AS』によると、アトレティコもそんなリケルメを今夏のローンバック後にトップチームの戦力として扱う方向で動き出しているようだ。ボーンマスへのレンタルには買取条項も付帯しているとされる同選手ではあるものの、イングランドでその能力を開花させつつあるアタッカーをみすみす手放すことはないと考えてのことだろう。はたして、ボール保持の戦術もこなせるようになったアトレティコで、来季この20歳が輝くことはあるか。まだ明確にトップレベルで通用することの証明こそできていないものの、大きな可能性を秘めた若者の今後には要注目だ。

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