ミランが再び“王者の魂”をチームに組み込む? マンジュキッチを獲得すべき理由

闘志剥き出しのマンジュキッチ。その熱きハートは多くのファンを虜にした photo/Getty Images

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マンジュキッチにミラン行きの噂が浮上

17試合消化した時点で12勝4分1敗と、勝ち点を「40」まで積み上げ、セリエAの首位に君臨するACミラン。10年ぶりの王座奪還へ向けて着実に歩みを進めているが、後半戦もこの好調を維持するために重要となりそうなのが冬の移籍市場での動向だ。

実際にミランは昨季、冬の移籍市場がクラブにとって大きなターニングポイントとなった。近年の低迷により、スクデット争いどころか欧州コンペティションへの出場機会を逃すことも少なくなかったが、昨年1月にクラブのレジェンドで、多くのタイトルを手にしてきたFWズラタン・イブラヒモビッチが復帰を果たすと状況が一変。一時は二桁まで順位を落としていたチームが息を吹き返し、最終的にヨーロッパリーグ出場圏内の6位フィニッシュを達成した。昨季後半戦の成績は12勝5分2敗で、6月のリーグ中断明け以降は最後まで無敗で駆け抜けてみせたのだ。

そして、昨季の勢いそのままに首位に立っているミランはスクデットの獲得をより現実のものとすべく、昨年のイブラヒモビッチに続いて、今冬も“王者の魂”を持つ戦士をチームに組み込もうとしているようだ。現地時間13日にミランの移籍情報に関して、気になる噂が浮上した。かつてライバルクラブのユヴェントスで活躍した元クロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチの獲得に動いているというものだ。
現在34歳のマンジュキッチは、バイエルン・ミュンヘン時代に欧州制覇を経験しているほか、2度のブンデスリーガ優勝に貢献。2015年から4年半にわたってプレイしたユヴェントスでも、4度のスクデット獲得などチームを数々の栄光へ導いてきた。『sky sport』や『sportitalia』といった複数の伊メディアによると、そんなマンジュキッチの代理人とミランが接触。昨年夏にアル・ドゥハイル(カタール)を退団し、現在フリーとなっていることもあり、移籍に向けてポジティブな話し合いを進めているという。

移籍金はタダとはいえ、若手が豊富なミランからすれば、マンジュキッチの年俸は決して安くはないだろう。アル・ドゥハイルへ移籍した際の年俸は1000万ユーロを超えるとされ、今季開幕前にローマ行きが噂された際も400万ユーロ(ミランではイブラヒモビッチとドンナルンマに次ぐ年俸額)+ボーナスを要求しているとの報道があった。はたして、ミランはマンジュキッチを獲得すべきなのか。単刀直入に言えば、もしミランがCL圏内を狙いに行くのではなく、本気でスクデットを獲りに行くのであれば、マンジュキッチは獲得すべきかもしれない。

守備面でもチームに貢献するマンジュキッチ photo/Getty Images

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獲得に際してのメリットとデメリット

大黒柱のイブラヒモビッチは、ここまで10ゴール1アシストを記録しているが、今季は怪我にも悩まされており、リーグ戦では7試合の出場にとどまっている。さらに、左ウイングを務めるアンテ・レビッチも今季は怪我がちで、本職のセンターフォワードに加えて、ユヴェントス時代に左サイドの才能を開花させたマンジュキッチのユーティリティ性は、間違いなくミランとってメリットと言えよう。そして、ユヴェントスでは豊富な運動量で上下の動きが激しいアレックス・サンドロとコンビを組んでいたこともあり、サイドバックの生かし方を熟知し、守備への貢献度も大きい。イブラヒモビッチとの併用でマンジュキッチが左ウイングに入ることになったとしても、攻撃力のある左サイドバックのテオ・エルナンデスとの相性は悪くないだろう。

また、ミランは今季、セットプレイからのゴール数がセリエAで3番目に多い7つとなっているほか、ヘディングによるゴール数も7つでリーグ2位、エアバトル回数の1試合平均も31.2回でリーグ5位と、比較的空中戦が多いというデータが出ている。190センチの恵まれた体格を持ち、空中戦やアクロバットなプレイを得意とするマンジュキッチの存在は、チームのさらなる強化につながるにちがいない。もちろん、マンジュキッチの持つチームへの献身性や熱いハート、豊富な経験なども、若手が多いミランでは良いお手本となるはずで、昨年のイブラヒモビッチと同様に周りとの相乗効果も期待される。

一方、デメリットが心配されるとすれば、先にも述べた高額な年俸、半年以上の実戦離れ、そしてチームの主将を務めるロマニョーリとの関係(2019年4月に行われたユヴェントス対ミラン戦で、ボールと関係のないところでマンジュキッチがロマニョーリを後ろから蹴っ飛ばすも、お咎めなしで話題に)ぐらいか。ただ3つ目に関していえば、同僚となる以前にピッチ内で小競り合いを起こしていたイブラヒモビッチとシモン・ケアーがミランでうまくやれているため、問題はないかもしれない。イグアインやボヌッチなど、近年ユヴェントスでのプレイ経験がある選手がミランで活躍できていない例もあり、ファンからしたら少々不安な点かもしれないが、デメリットよりもメリットの方が大きいのではないだろうか。

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