オランダ代表MFの評価は暫し待て マンUで燻る男の評価大逆転はあるか

マンUで思うような時間を過ごす事ができていないファン・デ・ベークだが…… photo/Getty Images

ここまでは期待はずれ

2020-21シーズンにここまでリーグ戦17試合を終えて、暫定2位につけるマンチェスター・ユナイテッド。序盤戦こそ少し躓いたものの、彼らは徐々にギアを上げ優勝も見える位置までその順位を上げてきた。この戦いぶりは、見事というほかないだろう。

しかし、そんなチームの中で少し浮いた存在となってしまった選手がいる。昨夏加入したオランダ代表MFドニー・ファン・デ・ベークだ。アヤックス時代には高いテクニックと視野の広さを活かしたプレイでチームの攻撃を牽引していた同選手。加入当初はブルーノ・フェルナンデスやポール・ポグバといった選手たちとポジションを争う存在になることが期待されていたが、現時点で彼の立場はかなり厳しい。

2020-21シーズンにここまでマンUがこなした公式戦29試合中、ファン・デ・ベークが出場したのは21試合。これだけ見ればそこまで悪くないようにも思えるが、試合終了間際に投入されるシーンも目立ち、そのプレイタイムは852分(1試合平均40分)と少ない。加えて、直近のリーグ戦5試合では1分も出場のない状況となっており、早くもチーム内における彼の肩身は狭くなっている。

とはいえ、ファン・デ・ベークにはもう少し時間を与えるべきかもしれない。DFパトリス・エブラ(元マンチェスター・ユナイテッド)やMFロベール・ピレス(元アーセナル)、MFマイケル・エッシェン(元チェルシー)といった後の名手たちでさえも、プレミアの水に慣れるまでには加入から少し時間を要した。最初はうまくいかなかった彼らだが、時間を経るにつれてチームにフィットし、最終的には所属チームをプレミア制覇へと導いている。近年で言えば、リヴァプールMFファビーニョもその例として挙げることができるだろう。

「エールディヴィジからプレミアリーグへと活躍の場を移すのは、大きな決断だ。アクションのスピードだけでなく、フィジカル的にも両リーグのサッカーには違いがある。それに、イングランドでは毎週アヤックスやフェイエノールトのようなチームを相手にすることになるんだ。オランダとは明らかに違うね。おそらく、ファン・デ・ベークをきちんと評価できるのは1年後になると思うよ。今はまだ素晴らしいキャリアへの準備段階だ。私が言えるのは、『待ってみよう』ということだけさ」

ファン・デ・ベークにはまだ順応期間が必要。かつてマンUでGKコーチを務めたフランス・フック氏も、蘭『Voetbal International』に対してはこのように持論を展開している。昨冬加入したB・フェルナンデスは異例の早さでチームの中心となったが、たしかに初の海外移籍となったファン・デ・ベークに彼と同じレベルを求めるのは酷と言えるか。加えて、マンUで競争相手となっているのはB・フェルナンデスその人である。

マンUとしても、決してファン・デ・ベークを待つ時間がないわけではない。同選手抜きでも現在のチームは十分にプレミアの戦いで結果を残すことができている。このオランダ代表MFが即戦力にならないのは計算外だったが、それでも優勝争いに絡めているのは前向きな要素だ。ここにファン・デ・ベークの創造性が加わることとなれば、一気に赤い悪魔がタイトルレースを抜け出す可能性は高い。新天地で苦しい時間を過ごすオランダ代表MFだが、今後はシーズン前半戦を忘れさせるような評価大逆転のパフォーマンスに期待したいところだ。

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