アーセナル新加入MFに付き纏う“一抹の不安” ウーデゴーはプレミアの強度に耐えられるか

アーセナルへのレンタル移籍が発表されたウーデゴー photo/Getty Images

プレミアのサッカーに馴染めるか

アーセナルにまたスペイン仕込みのテクニシャンがやってきた。同クラブは現地時間27日、レアル・マドリードからノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴーを今シーズン終了時までのレンタルで獲得したことを発表。2015年1月のレアル下部組織加入からスペインで研鑽を積んできた北欧の神童を確保することに成功している。

今季初めに復帰したレアルではなかなか思うように出場機会を得ることができていなかった選手だが、そのポテンシャルは抜群。このウーデゴー獲得に興奮しているファンは多いことだろう。アーセナルが大切にしてきたボール保持の哲学にマッチしたテクニシャンだけに、期待は膨らむばかりだ。昨季レアル・ソシエダで公式戦36試合に出場し、急成長を遂げたプレイメイカーがガナーズの攻撃に大きなプラス要素をもたらす可能性は低くない。しかし、その一方でウーデゴーには大きな懸念事項がある。

それはフィジカルの部分だ。抜群のポールテクニックを武器としてチームに創造性をプラスすることが期待される同選手だが、スペインでは怪我に悩まされた。今季は前半戦だけで負傷離脱が3度。計52日間の戦線離脱を余儀なくされている。大きな飛躍を遂げた昨季も2度の負傷離脱を経験しているという点は懸念事項と言えるだろう。備える才能は確かなものがあるのだが、アーセナルで継続的にベストコンディションを整えられるかは少し心配なところだ。

特にプレミアはフィジカルバトルの激しいリーグとして知られている。相手の激しい寄せを回避できる術を磨かなければ、まったく活躍できずにレンタル期間が終了となる可能性もあるだろう。クラブOBのアラン・スミス氏も、ウーデゴーのフィジカル面の問題については次のように自身の見解を示している。

「以前アーセナルに在籍していたデニス・スアレスを思い出してほしい。彼は身体的な準備ができていなかったから、怪我で活躍することができなかった。ウーデゴーが彼と同じ道を辿らないことを願っているよ。彼には多くのことが期待されているけど、それが実現しない可能性も十分にあることを忘れてはいけない。相手の重厚なブロックに対して、違いを生み出すことができる選手なのは間違いないがね」(英『Daily Mirror』より)

潜在能力は高いが、どうしても身体的な部分に不安が残るウーデゴー。そんななかで、最悪のシナリオを回避するために右足の精度向上も重要な要素となってくるか。得意とする左足でのプレイには目を見張るものがある同選手だが、右足のクオリティはイマイチ物足りない。左足のみでのプレイに拘れば、相手のプレスを回避するのはどうしても一瞬遅れることになる。身体的な問題を軽減するためには、こういった部分の精度を向上させることも必要となってくることだろう。

アーセナルにやって来た若きテクニシャンに付き纏う一抹の不安。はたして、ウーデゴーは初挑戦となるプレミアでどこまでの活躍を披露することができるのか。この心配が杞憂に終わることを祈るばかりだが……。

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