久保、ヴィニシウス、ウーデゴーらの未来 “新・銀河系軍団”は夢と消えるか

ヘタフェへレンタル移籍した久保 photo/Getty Images

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獲得後の育成プランは甘かったか

2019年夏、レアル・マドリードは積極的な若手補強路線で大きな注目を集めた。

2018年夏にチームへやってきたブラジルの若きFWヴィニシウス・ジュニオールに続き、2019年にはブラジルのサントスからFWロドリゴ・ゴエスも合流。さらにFCポルトからブラジル人DFエデル・ミリトン、フランクフルトからFWルカ・ヨビッチ、そしてバルセロナの下部組織でプレイしていたことからスペインでも知名度が高かったMF久保建英もレアルへ加入した。

彼らは未来の銀河系軍団として注目を集めたわけだが、あれから1年半。期待していた結果とは異なっている。
ブラジルの若きアタッカー2人は伸び悩んでいるところがあり、まだまだ得点力が物足りない。レアルの前線を任せるには不十分だ。ブンデスリーガで実績を残していたヨビッチはカリム・ベンゼマをも脅かす存在になると期待されたが、適応できないままフランクフルトにレンタルの形で戻ることになった。レアル移籍は明らかに失敗だったと言える。

ミリトンもブラジル代表でのプレイを経験している若き実力者ではあるものの、まだセルヒオ・ラモスとラファエル・ヴァランの牙城は崩せていない。今季もリーグ戦3試合に出場したのみで、ワールドクラスのセンターバックとは言い難いか。

中盤ではMFマルティン・ウーデゴーも期待に応えることができず、先日アーセナルへのレンタル移籍が発表された。久保もビジャレアルへのレンタルが失敗に終わり、今冬からヘタフェで再スタートを切るなど遠回りしている印象は否めない。

ドルトムントにレンタル移籍しているMFレイニエル・ジェズスも出番がなく、こちらもレンタルは失敗に終わりそうな気配だ。今のレアルで主力と計算できる若手は22歳のMFフェデリコ・バルベルデくらいか。おそらくバルベルデは今後長くレアルで活躍していくことだろう。

ロドリゴはワールドクラスのFWになれるか photo/Getty Images

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若手の成長スピードはやや遅い

まだ結論を出すには早すぎるが、今のところレアルの若手補強路線は機能していない。ウーデゴーのようにレンタル先で結果を出しても、レアルでは十分にチャンスが与えられないこともある。若手選手にとってレアルへの移籍は大きなギャンブルだ。

レアルの場合は常に優勝を争うことが求められるため、若手にチャンスを与えるのが難しい側面もある。ヴィニシウスやロドリゴ、久保など未来のスーパースター候補を移籍金が安価なうちに手中へ収めておく補強方法は称賛されたが、彼らを成長させることに手間取っている印象だ。バルセロナがサントスからFWネイマールを獲得して大成功した例があるためレアルも急いだのかもしれないが、同じブラジル人FWでもヴィニシウスとロドリゴはネイマールとは違う。今後彼らがネイマール級のプレイヤーに育つかは微妙なところだろう。

若手を獲得した後どう育てるのか。今のところレンタル移籍で経験を積ませるくらいしか選択肢がなく、そのレンタル移籍が確実な成長へ繋がるかも未知数だ。育成の部分でレアルの詰めは甘かったのかもしれないが、この若手補強路線が花開く時はくるだろうか。今後レアルへの移籍を躊躇する若者が出てきても不思議ではない。

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