クレバーな対応でロナウドを完封 吉田麻也が見せた“スーパーヒーロー級”の活躍[映像アリ]
ロナウドとマッチアップし、完璧に抑えた吉田 photo/Getty Images
華麗なスライディングで窮地を救う
30日にセリエA第20節が行われ、日本代表DF吉田麻也が所属するサンプドリアは王者ユヴェントスと対戦。チームは惜しくも0-2で敗れたが、あの世界の“CR7”を相手に日本の守備リーダーのクレバーさが光った試合だった。
ホームにユヴェントスを迎え入れたサンプドリアだったが、20分にフェデリコ・キエーザに先制ゴールを許してしまう。その後、粘り強い戦いを披露し、終盤には守り切り体制に入ったユヴェントスを押し込む時間帯もあったが、なかなかシュートまでは持ち込むことができず。すると後半アディショナルタイム、前がかりになった一瞬のスキを突かれ、カウンターから試合を決定づける2点目のゴールをアーロン・ラムジーに許し、3試合ぶりの敗戦を喫してしまった。しかし、チームの結果とは相反して、この一戦で一際存在感を放ってみせたのが吉田だ。
ユヴェントス戦前に行われた伊『sky sport』のインタビューで吉田は「ユヴェントス戦ではスーパーヒーローのような活躍が必要となってくるけど、たくさんいる日本の漫画のスーパーヒーローで誰が好きですか?」と聞かれ、「ドラゴンボールZの孫悟空」と回答。そして、ユヴェントス戦への意気込みを「恐れることなく戦い、良い試合をしたいです。ユヴェントスがとてもすごいチームなのはわかっていますからね」と明かしていた。チームが敗れてしまったため、スーパーヒーローとはなれなかったが、“スーパーヒーロー級”の活躍は見せたと言っていいのではないだろうか。以下、吉田が見せた好プレイを追っていこう。
11分に右サイド(ユヴェントスから見て左サイド)でクリスティアーノ・ロナウドと対峙した際の吉田は、ロナウドの利き足である右足側のコースを切り、内側へのカットインする得意のシュートパターンに持ち込ませない好対応。縦へ流れた後もロナウドの鋭い切り返しに釣られずに冷静に対応し、クロスを上げさせなかった。
さらに42分と43分にも、吉田はロナウドの大きな決定機を立て続けに阻止。前者では、ロングボールから裏へ抜け出し、GKと1対1になりかけたロナウドをファウルで止めるのではなく、左斜め後ろからスライディングでボールだけを奪い去り、チームの窮地を救う。後者では、ペナルティエリア手前からドリブルでスルスルと抜け出し、エリア内へ進入してきたロナウドに対して、少しドリブルが大きくなったところを見極めてボールを外へ突き出した。この吉田の活躍もあって、サンプドリアは前半を最小失点で乗り切ることとなり、試合の行方は最後までわからなくなった。
後半に入っても吉田の好プレイは続き、試合終了間際にもクレバーな対応を見せた。ペナルティエリア内へ侵入してきたロナウドに内側へのカットインを許してしまったが、吉田は焦らずに粘り強く着いていくと、しっかりとコースに入り、シュートを枠まで飛ばさせない。今季ここまで15ゴールを記録し、セリエAの得点ランキングでトップに君臨しているロナウドを90分間完全に封じ込めてみせたのだ。
また、吉田はアルバロ・モラタに対しても巧みなラインコントロールでオフサイドを誘発したり、このイタリア屈指のポストプレイヤーに競り負けない強さをも見せた。ユヴェントスのウェストン・マッケニーやレオナルド・ボヌッチとともに、この試合で両チーム最多タイとなる4回のインターセプト回数なども記録している。
ユヴェントス戦でいく度となくクレバーな対応を見せた吉田のプレイを、伊メディアも高く評価。『sampnews24』はユヴェントスの先制点を決めたフェデリコ・キエーザとともに両チーム最高となる「7点」の評価をつけ、「注意深さや堅実さで、優れたクオリティを証明した」、「ラニエリのチームはポイントを手にすることはできなかったが、マヤ・ヨシダの優れたパフォーマンスにはまだ笑みを見せることができる」などと綴っている。
イタリアへやってきてちょうど1年を迎える吉田。インタビューでも流暢なイタリア語を披露しており、その際に時折見せる笑顔や身振り手振りには余裕すら感じる。守備大国イタリアに適応し、強豪相手にもしっかりと実力を見せた日本のリーダーの今後の更なる活躍からは目が離せそうにない。
◯吉田がスライディングでロナウドの決定機を阻止したシーン(YouTubeのセリエA公式チャンネルより)