トッテナムで燻っていた男の評価大逆転 エンドンベレが変わったキッカケは

今季トッテナムの主力として活躍するエンドンベレ photo/Getty Images

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昨季は指揮官との関係悪化も噂されたが……

加入初年度となった2019-20シーズンは、トッテナムのフランス代表MFにとって難しい1年だった。しかし、そんな苦しい時間を経て、この中盤戦士は今季のスパーズに欠かせない存在となっている。その中盤戦士とは、MFタンギー・エンドンベレである。

2019年夏に総額7,000万ユーロ(約83億2000万円)もの移籍金でチームへ迎え入れられたものの、その後しばらくトッテナムで思うような時間を過ごすことができなかったエンドンベレ。シーズン終盤にはジョゼ・モウリーニョ監督との確執も報じられ、一時はたった1年でトッテナムが彼を放出するのではとの噂も流れていた。結局、怪我などの影響もあり2019-20シーズンの公式戦出場は29試合。決して少なくはないが、加入当初の期待値からすれば物足りない出場数だったことは否めない。

だが、それから幾ばくかの時間が経過した今、エンドンベレは以前と見違えるような姿を見せている。今季はここまで公式戦29試合に出場し、6ゴール3アシスト。中盤のポジションを確保し、現在は押しも押されもせぬスパーズのレギュラーとして活躍中。夏には放出も噂された男が、見事なカムバックを果たしている。
しかし、なぜエンドンベレはここまでモウリーニョ監督に重用されるようになったのか。もちろん、本人の調子が良いこともあるだろう。とはいえ、一時期エンドンベレと指揮官の関係は修復不可能な状態にまで亀裂が入っていたとも噂された。この短期間でその関係性が全く別のものに変わったことは、多くのファンが気になっているところだろう。

そんななか、エンドンベレはその理由について明かしている。“quij'aimebien chatie bien(愛するほどに意地悪をする)”。フランスにはこんな諺があるが、これが彼にとってモウリーニョ監督との関係を修復するうえで重要なワードとなったようだ。

「そうだね。この諺みたいだよ。モウリーニョと話すと、彼の言葉は僕に突き刺さるものが多かった。時に難しすぎたり、厳しすぎたりね。そういった言葉を受け取るたび、僕の頭の中では戦争が起こったような感覚だった。理解するのは難しかったよ。でも、それは決して価値のない批判ではなかったんだ。もちろん、良い気分はしなかったけどね。監督はにかなり厳しいことを言うけれど、ひどいプレイをすればそれは仕方のないことだ。僕ら選手は、その中にあるポジティブなメッセージを見つけることが大事なのさ。悪いプレイをしたならば、言われたことを反省し、批判を受け入れなければならない。そのおかげで、今の僕は非常に順調なキャリアを送ることができているんだ」(英『THE Sun』より)

モウリーニョ監督の言葉は、表面的に受け取れば厳しい批判かもしれない。しかし、それは期待の裏返しでもあるということに、エンドベレは途中で気がついたという。問題は自分の言葉の受け取り方にあったのだと、この中盤戦士は理解したようだ。

指揮官とのコミュニケーションが円滑に進むようになったことで、自分の色を前面に押し出すプレイが可能となったエンドンベレ。指揮官も期待していた選手が自分のチームで躍動していることにさぞ満足していることだろう。指揮官と対立していたエンドンベレだが、いつの間にかこの名将とは以心伝心の仲となったのかもしれない。

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