中村航輔は欧州で成功を掴めるか 日本代表GKが最初に越えねばならぬ壁

昨季まで柏レイソルでプレイしていた中村 photo/Getty Images

ライバルは1歳上の正守護神

今冬、Jリーグ・柏レイソルからプリメイラリーガ(ポルトガル1部)のポルティモネンセへと移籍を果たし、自身初の海外挑戦を開始することとなったGK中村航輔(25)。日本代表の次期正守護神候補にも挙げられるシュートストッパーは、フットボールの本場である欧州の地で果たしてどこまで通用するのか。現段階で日本最高峰の実力を備えたGKの新たな挑戦だけに、注目している人は多いだろう。

そんな中村の挑戦は、日本サッカー界にとっても重要な意味を持つはずだ。これまでは川島永嗣や川口能活といった歴代守護神が欧州を舞台に活躍した過去こそあるものの、日本人GKのブランドは未だフットボールの本場で高い評価を得るには至っていない。それだけに、現時点で国内最高峰の実力を備えた中村が欧州で通用するかしないかは、今後日本のGK育成を考えるうえでも大切になってくる。

その第一歩となるポルティモネンセでの挑戦。しかし、中村の前に立ちはだかる壁は想像以上に大きのかもしれない。2020-21シーズンにここまでプリメイラリーガで13位となかなか上位に食い込むことができていない同クラブだが、正守護神のレベルは思いのほか高いのだ。

欧州における中村のライバルとなるのは、同年代のブラジル人GKサムエウ(26)だ。同選手は昨年7月にU-23チームからトップへ昇格を果たすと、開幕からすぐさまポルティモネンセの正守護神に定着。守備陣がそこまで安定していないことから22失点を喫することとなっているものの、ここまで出場17試合でリーグ6位となるセーブ数(48回)を記録している。特にミドルシュートへの反応に優れており、ボックス外から放たれたシュートに対するセーブ数はリーグ5位の「20」。柏時代に超反応で豪快なシュートストップを連発した中村だが、ライバルもまたセービング技術には秀でたGKとなっている。

また、サムエウはビルドアップもそつなくこなしており、今季15試合に以上に出場したGKの中でリーグ6位となる382本のパスを成功させている。このパフォーマンスから、サムエウは今冬セリエAクラブへ移籍する可能性も現地では報じられていた。歳も近いだけに、現状ポルティモネンセはサムエウに代えて無理に中村を起用する理由がない状況となっている。そんな事情も相まって、中村は未だに新天地デビューを果たすことができていない。満を持してポルトガルへと向かった守護神だが、現時点ではチャンスを窺っている段階と言えるだろう。

しかし、ポルティモネンセも中村を獲得した以上はどこかで出場機会を与えるだろう。現時点では少し難しいスタートとなった日本代表GKだが、彼の実力をもってすればライバルを出し抜くことも可能なはず。むしろ、のちの4大リーグ挑戦を見据えるならば、ここで後れを取っている場合ではない。

柏時代は味方への強気なコーチングも魅力だっただけに、早めにポルトガル語をマスターすることでそういった部分のアピールもしていきたい中村。ポルトガル語圏出身であるライバルの壁は大きいものの、今後は日本代表GKの評価急上昇に期待したいところだ。

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