ヴェルナー失っても王者猛追 青年指揮官が作り上げる“リーグ最少失点”軍団

ライプツィヒを指揮するナーゲルスマン photo/Getty Images

堅い守備で首位奪取の機会を伺う

王者バイエルンを止められるだろうか。現在ブンデスリーガでバイエルンを猛追しているのが、勝ち点差2で追う2位ライプツィヒだ。

今季開幕前よりバイエルン、ライプツィヒ、ドルトムントの3クラブが優勝候補に挙げられていたが、ドルトムントは脱落。ヴォルフスブルク、フランクフルトも頑張ってはいるものの、バイエルンから王座を奪回できるチームがあるとするならライプツィヒくらいだろう。

大きいのは名将と評価される青年指揮官ユリアン・ナーゲルスマンの存在だ。ホッフェンハイムで結果を出したナーゲルスマンは昨季よりライプツィヒの指揮を任されており、今ではトッテナムを指揮するジョゼ・モウリーニョの後任候補にも噂されている実力者だ。

ライプツィヒは元より実力のある準強豪クラブではあったものの、昨夏にはエースのティモ・ヴェルナーがチェルシーに引き抜かれている。後釜としてノルウェーの大型FWアレクサンデル・セルロートを獲得したが、セルロートはここまでリーグ戦20試合に出場して僅か1得点。ヴェルナーの穴埋め要員にはなれなかった。

昨季に比べるとライプツィヒの攻撃力が落ちているのは明らかで、昨季3位に入ったライプツィヒはリーグ戦で81得点も奪えていた。ところが、今季は22試合消化時点で40得点。バイエルンが62得点も挙げていることを考えると、やはりヴェルナーを失ったライプツィヒの攻撃は寂しい。リーグ戦でのチーム最多得点プレイヤーはMFマルセル・ザビツァーで5得点だ。

しかし、ナーゲルスマンは代わりに守備を強化。ここまでチームはリーグ最少となる18失点に抑えており、バイエルンの31失点と比較するとかなり少ない。何よりライプツィヒは1試合平均被シュート本数がリーグ最少の7.9本となっており、昨季の10.3本から大きく減った。

限られた戦力でチームを上位へ導くのは優秀な指揮官に求められる条件であり、それこそFCポルトを指揮してチャンピオンズリーグ制覇も果たした若かりし頃のモウリーニョもそうだった。ナーゲルスマンとモウリーニョではタイプが異なるが、サッカー界を騒がせる風雲児としては次期スペシャル・ワンと呼ぶにふさわしい人物かもしれない。

ドイツ以外の強豪クラブを指揮する姿も見てみたいところで、噂されるトッテナム行きは面白い選択肢だ。若手の育成にも長けるナーゲルスマンならば、トッテナムの若手を上手く育てることができるかもしれない。

堅守のライプツィヒがバイエルンを破って逆転優勝を果たすようなことがあれば大騒ぎとなるだろうが、ナーゲルスマンはそのミラクルを起こせるのか。ヴェルナーを失った攻撃陣は地味な構成となったが、それでも必死に王者へ喰らいついている(数字は『WhoScored.com』より)。

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