[粕谷秀樹]リヴァプールに次々と襲いかかるアクシデント! サラーのエージェントも退団をほのめかした

粕谷秀樹のメッタ斬り 055

粕谷秀樹のメッタ斬り 055

直近のリーグ戦5試合で1ゴールと調子を落としているサラー 。今夏に退団の噂も photo/Getty Images

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延べ1029日は不名誉な最多記録

ホーム6連敗……。リヴァプールがもがき苦しんでいる。

フィルジル・ファン・ダイク、ジョー・ゴメス、ジョーダン・ヘンダーソン、ジョエル・マティプなど、必要不可欠な選手が相次いで負傷に倒れた。彼らが戦線を離れた今季の総日数は延べ1029日間(26節時点)。不名誉なリーグ最多記録だ。

前述した4選手のほかにも、チアゴ・アルカンタラが新型コロナウィルスに感染したり、ディオゴ・ジョタが膝を痛めたり……。スポーツに怪我は付きものとはいえ、これだけ多くの主力が故障者リストにラインアップされたケースは記憶にない。
さらに、ユルゲン・クロップ監督は実母エリザベートさんを病で、アリソンは実父ジョゼ・アゴスティーニョさんを事故で失った。彼らの心痛は察するに余りある。本来であれば親のもとに駆け付け、最後の言葉をかけたかったが、コロナ禍ではそれも許されなかった。

また、モハメド・サラーのエージェントを務めるラミ・アッパス・イッサ氏が、SNS上で「.」。ピリオド一文字とは、顧客の退団をほのめかしているのだろうか。

コロナ禍以前は多くの熱狂的なサポーターたちがアンフィールドに足を運び、選手たちの背中を押していたが…… photo/Getty Images

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サポーター不在も大きなダメージ

次々と襲いかかるアクシデントに、強気で鳴るクロップ監督も少しだけ守りに入った。レギュラーCBの欠場に伴い、ヘンダーソンとファビーニョを最終ラインに起用したのである。考え方はよく分かる。お家の一大事の処理を、信頼できるふたりに託したのだろう。

しかし、ファビーニョとヘンダーソンを欠いた中盤は、マイボールになった瞬間にスピードアップできなかった。ネガティヴ・トラジションも鈍い。

CBが人材難に陥ったとき、クロップ監督が多少の失点を覚悟して若手にCBを託していれば、攻守ともある程度のバランスは維持できていた、と考えられなくもない。28節時点で47ゴール。昨シーズン比マイナス17だ。36失点は16点も増えている。アクシデントの怖さを物語るデータだ。

また、チェルシーのトーマス・トゥヘル監督が「無観客のアンフィールドは、もはやアンフィールドではない」と語ったように、一種異様な歓声でチームを支えるサポーターの不在も大きなダメージになった。

「無観客はどこも同じ」は、アンフィールドを知らない者の戯言だ。このスタジアムは特別であり、多くの名門、強豪が独特の圧力に呑み込まれてきた。一昨シーズンはバルセロナが、チャンピオンズリーグ準決勝第一戦(カンプ・ノウ)で3-0の勝利を収めながら、アンフィールドでは0-4の屈辱を味わっている。このアドバンテージも使えなくなった。

しかし、このままおめおめと引き下がるわけにはいかない。最低目標のチャンピオンズリーグ出場権確保に向け、リヴァプールは一刻も早く、彼らならではの熱いパッションを取り戻さなくてはならない。

幸い、4位のチェルシーとはまだ7ポイント差。十分射程距離だ。アンフィールドに駆け付けらずウズウズしているサポーターのためにも、前を向いて闘う必要がある。

YOU’LL NEVER WALK ALONE.

彼らの心は、リヴァプールとともにある。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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