左利きの“NEXTベッカム”出現? ドイツで育つ昇格組の若きクロス職人

シュツットガルトで躍動するソサ photo/Getty Images

シュツットガルトに欠かせぬレフティー

元イングランド代表のデイビッド・ベッカムといえば、右サイドからの息を呑むほど美しいクロスで数多くのゴールをアシストしてきた名手だった。フリーキックやコーナーキックも担当し、ベッカムの右足がチームに与える影響はとてつもなく大きかった。

そして今、そんなベッカム級のボールを蹴る選手がドイツ・ブンデスリーガに出現したのか。利き足こそ違えど、今季シュツットガルトで暴れる若きレフティーのキック精度に注目が集まっている。23歳のクロアチア代表DFボルナ・ソサだ。

シュツットガルトでは3バックシステムの左WBでプレイするソサ。186cmのサイズを活かした空中戦やスピードも魅力的な選手だが、彼一番の持ち味は左足のキックだ。豊富なアイデアを駆使して左サイドを突破したのち、中央へと供給されるクロスは圧巻の一言。決してスピードはなくとも、なぜか味方に届くそのキックはもはや芸術の域に達しつつある。早い判断からのアーリクロスも絶品で、ボールの軌道はサイドこそ違えどかつてベッカムが見せていたそれに近いものがあると言っていいだろう。

そんなソサが今季ブンデスで記録しているクロス成功数は、リーグで4番目に多い38本。成功率も24.84%とハイレベルだ。また、その絶品クロスを武器にここまで記録しているアシスト数は「8」。昇格組のシュツットガルトが現在リーグ5位の45得点を挙げることができているのは、間違いなく彼の貢献によるところも大きいだろう。美しいクロスを武器にチャンスメイクできるサイドプレイヤーという点において、ベッカムと重なる部分は少なくない。

「彼はあらゆる角度から高品質のクロスを中央に供給することができる。相手守備陣に綻びを生ませたり、スペースを生じさせたりするためにも、彼は重宝しているよ。その左足は本物だと思うね。本人もモデルはベッカムと言っていたが、私もボルナは彼と同じ資質を備えていると思うよ。ついに開花したね」(独『Bild』より)

かつてドルトムントでスカウトとして香川真司やロベルト・レヴァンドフスキを発掘したシュツットガルトのスヴェン・ミスリンタートSDも、ソサに関してはこのように好評価を与えている。利き足は違うものの、往年の名手を彷彿とさせる美しいキックを繰り出すクロアチアの新星。はたして、ソサは今後のキャリアでベッカムと肩を並べるまでのキックマスターとなることができるか。若きレフティーの成長が今から楽しみだ。

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電子マガジン「ザ・ワールド」No.299 フリック・バルサ徹底分析

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