[MIXゾーン]3連勝セレッソに見え隠れする一抹の不安 メンバー固定のリスクは

好調の大久保も37歳ながら先発出場を続ける photo/Getty Images

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むしろ今後の可能性を大分に感じた

「選手交代は特に後半、ベンチにいるスタッフともかなり話をしながら考えていた。試合の流れが拮抗し、パフォーマンスが際立って良い選手もいなければ、悪い選手もいない。その中で交代を決断していくのは難しい部分もあった」(C大阪・クルピ監督)

  C大阪は前節とまったく同じ先発イレブンを起用した。更にこの試合の90分を交代3人で終えている。今季5ゴールと絶好調とはいえ、既に37歳のFW大久保を64分にベンチに下げたものの、残りのふたりの交代は85分と90分。実質10人はフル出場だったといえるだろう。シーズンを通じて固定した先発11人で戦うという傾向はハッキリしており、ゲームを動かすという点で交代カードを使ってという方法を取ることは少ない。

 一方の大分はこのC大阪戦を含めて今季は4試合を戦い、フルタイム出場しているのはGKの高木ひとりだけである(C大阪は5人)。
「我々は中2日、C大阪は中3日で、準備期間が1日短く、厳しいゲームになることは覚悟していた」(大分・片野坂監督)

 大分はG大阪戦が中止になり、消化試合こそ1試合少ないものの、元々戦力に余力があるチームではないだけに、やり繰りをしながら勝ち点を拾っていくという戦いは必然である。ましてこの試合の調整期間には丸1日の開きがある。片野坂監督は58分にふたり(DF三竿、MF小林裕)、71分にもふたり(MF小林成、MF松本)と矢継ぎ早に選手を投入している。

 ただこれは苦戦の裏付けというより、「互角の拮抗した試合」(クルピ監督)をものにするための策だった。

 互いに自分たちのプレイができる時間帯と、相手に合わせて戦わなくてはならない時間帯があり、その流れは試合終盤まで変わることがなかった。特にC大阪の高い位置からのチェイシングは徹底されており、GKを起点にパスを繋ごうとする大分に、C大阪は前線の選手がGKに蓋をするようにプレッシャーを掛けた。見ているこちらが90分スタミナがもつのかと不安になるほど、C大阪の選手は足が落ちずに走り続けた。昨年までのロティーナ監督は、一旦相手ボールになったら帰陣して自分のゴール前にブロックを素早く形成するという戦い方を徹底していただけに、同じチームが違うスタイルを上手くこなし、既にものにしている。チームにスタイルを徹底するという意味で、固定したメンバーで戦うほうが、浸透が早いという利点は大きいのだろう。

 ただこの試合に関しては「縦パスを入れるタイミングで相手は中を閉めて守備をしてきたので、自分たちでもどう攻めようか探りながら試合をしていた感じ」(MF奥埜)で、アタッキングサードでの攻防は互いに少なかった。

 大分のDF刀根が「連戦ということもあり、自分たちはメンバーを入れ替えてフレッシュなメンバーで臨んだが、やはり個の力で負けている部分を感じた」と話したように、最後の最後87分にMF坂元にGKにはノーチャンスのスーパーゴールを決められ試合は決まった。やはり拮抗した試合では個で打開できる選手がいるかどうかで大きく変わる。坂元のゴールをそのまま守ったC大阪が厳しい試合をものにし3連勝。逆に大分はここまで負けなしだったが、今季初黒星を喫することになった。

 ただC大阪に軍配の上がった試合だったが、筆者は一抹の不安が拭えない。冒頭に書いたようにあまりにメンバーを固定していることで、今後も続く過密日程に対応できるのだろうかという不安だ。試合に出ている選手は疲労、試合から遠ざかっている選手は試合勘、今後リスクとしてチームを苦しめることになりはしないだろうか?

 大分はひたむきに自分たちのサッカーを徹底。それもチーム全体で時間を共有しながらの戦いである。戦力に限りはあるが、それをグループで克服しようという前向きな姿勢が常に感じられる。

 勝敗では明暗が分かれたが、今後の戦いという点ではむしろ敗者に可能性を感じた一戦だった。

文/吉村 憲文

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