[MIXゾーン]ダミアンと小林の“2大エースの共存” フロンターレのさらなる進化

ゴールが決まり、喜びを分かち合うダミアンと小林 photo/Getty Images

鬼木監督も同時起用に手応え

川崎フロンターレは21日、明治安田生命J1リーグ第6節で浦和レッズと対戦した。

敵地での戦いに加えて激しい雨風もあってか、前半はなかなか思うようなパフォーマンスが発揮できなかった川崎。しかし、そんな苦しい中でも42分にFW小林悠が貴重な先制点を奪い、リードしてハーフタイムを迎える。そして後半に入ると、前半の問題点をしっかり修正。前半と打って変わり素晴らしい入りを見せ、49分にFWレアンドロ・ダミアン、51分にDF旗手怜央、53分に再び小林と、立て続けにゴールネットを揺らして勝負あり。67分にMF脇坂泰斗がダメ押しとなるミドルシュートを決め、5-0の大勝を収めた。この結果、開幕戦からの無敗記録を「7」に伸ばした川崎(6勝1分)は、暫定ではあるものの首位をキープしている。

近年、素晴らしい結果を残しているフロンターレだが、強さの秘訣の一つとして、鬼木達監督の選手の才能を見極めた上での巧みな采配がある。今季も本来攻撃的な選手である旗手をサイドバックで起用したり、ベガルタ仙台戦では途中出場したDF谷口彰悟を本職のセンターバックではなくアンカーで使ってみたり……。試合中にも戦術幅を広げるために様々なことにチャレンジし、日々進化を続けている。

そして、この浦和戦で試されたのが、フロンターレの2大エースであるダミアンと小林の共存だ。これまでは調子の良し悪しなどをみて、ワントップに片方がチョイスされることが多かった。ただ、これは何か不具合が起きた場合にトップクラスのストライカーが控えているという安心感と同時に、少々もったいなさもあった。シーズンを通して試合に出続ければ二桁得点は堅いであろうダミアンと小林、どちらか片方がベンチなんてもったいないと感じたファンも少なくないのではないか。

そのモヤモヤがついに解消されるかもしれない。この日の戦いを見る限り、ダミアンと小林の共存はアリかナシかで言えば、2人の関係から2つのゴールが生まれていることもあり、十分アリだっただろう。2点目のシーンでは、小林のアーリークロスからダミアンがアクロバティックなシュートを決めた。4点目のシーンでは、左からのクロスをファーサイドへ走り込んだダミアンが中央へ折り返し、小林が胸で押し込んだ。ゴール前に複数名いることでターゲットを絞らせず、相手のDFを左右にうまく揺さぶりながら奪った綺麗な形のゴールだった。

サイドでタメを作ったり、中央でリズムを作ったりするMF家長昭博に対して、小林はやはりストライカーということもあり、4点目のシーンもそうだがゴール前に入る回数が圧倒的に多い。そのため、ゴール前での選択肢が増えているように思う。先制点のシーンでも、ダミアンが下りて空いた中央のスペースに小林が入り、その小林が空けた右サイドのスペースをサイドバックの山根視来が使い、小林のゴールへとつながっている。まだまだ発展途上だろうが、今後はダミアンと小林の同時起用もフロンターレのオプションの一つとなりそうだ。実際、試合後のインタビューで鬼木監督たちも2大エースの共存に関して、手応えを感じているようであった。

「まずアキ(家長昭博)を連戦で使っていたので、(小林の右WG起用は)フレッシュな選手をというところです。あとはずっと試してみたいところでもありました。調子の良い選手たちなので、同時起用というのは今回に限らず、今年は考えていたので使いました。本当に2人とも得点意欲を持っているので、仕事をしてくれたと思います(鬼木監督)」

「ユウ(小林悠)に関しては、前線のどこのポジションでもこなせる本当に素晴らしい選手だなと思います。今日はワイドのポジションに入りましたけど、あのように中に入って攻撃的なプレイもすることでき、得意でやってきた選手です。自分もゴールを取るために彼を探しながらプレイをしたり、彼もゴールを取るために私を探しながらプレイしたり。良い関係で、お互いに見合いながらプレイできたんじゃないかなと思っています。それが今日の結果にもつながっているんじゃないかなと思います(レアンドロ・ダミアン)」

また、小林がゴールを決めた際にダミアンと熱い抱擁を交わしているシーンがとても印象的だった。2人はポジションを争うライバルであるとともに、一緒に勝利を目指す戦友でもある。素晴らしい競争関係を築けているのがみてとれ、どんな選手が出ても結果を残すことができるフロンターレの強さが垣間見れたシーンだったと思う。シーズンが進むにつれて、さまざまな進化を遂げるフロンターレの今後の戦いも楽しみで仕方がない。

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