“NEXTヴァラン”と呼ばれた男の再起 挫折味わった20歳の逆襲に期待せよ

昨夏アーセナルに合流しながらも、わずか半年で再びレンタルされることとなってしまったサリバ photo/Getty Images

たった半年でレンタルに出された男の未来は

イングランド・プレミアリーグにおける最初のステップにこそ少し躓いてしまった感があるものの、アーセナルの若手センターバックはここから評価逆転となるのだろうか。昨夏一度はチームに合流したものの、そこからわずか半年でニースにレンタルされることとなってしまったDFウィリアム・サリバ(20)の将来に注目が集まっている。

若いながらも、今季のアーセナル守備陣を牽引する存在になる。開幕前、サリバにこうした期待をかけていた人も決して少なくはなかったことだろう。しかし、ミケル・アルテタ監督の下でシーズン前半戦に彼が出場した公式戦はなんとゼロ。一部メディアからは“NEXTラファエル・ヴァラン”とも期待された注目株は、少し足踏みを強いられることとなってしまった。

しかし、サリバはまだ20歳。最初の一歩こそ躓いたが、ここから評価を再浮上させることは可能だろう。「大きな衝撃だったことは間違いない。でも、アーセナルからレンタルに出されるのが早すぎたとは思っていない。これからなにが起こるかわからないんだ。僕は自分のことを信じているよ」。これはニース移籍後にサリバが残したコメントだが、本人もまだアーセナルでの成功を決して諦めていない。むしろ、一度挫折を経験したことで、彼の心には火がついたか。

それはニースでのスタッツにも表れている。レンタル移籍以降は、出場可能なリーグ戦14試合のうち12試合でフルタイムをプレイしているサリバ。シーズン途中加入にもかかわらず、クリア数では早くもチーム2位となる55回を記録している。身長193cmのサイズを活かした空中戦での勝利数(22回:チーム4位)も印象的で、この20歳はあっという間にニースの最終ラインに欠かせぬ存在となってみせた。

以前まではあくまでも“期待の若手”としてその将来性に高い評価が与えられていたサリバ。しかし、今の彼はリーグ・アンでも屈指のCBとして認識され始めている。この状態で来季ガナーズへ復帰することとなれば、今季前半戦のような悔しい思いをすることはないか。アーセナルOBのバカリ・サニャ氏も、若きCBの今後については次のように語る。

「プレミアは世界最高のリーグだから、サリバがたった半年でアーセナルからレンタルされたのに驚くことはなかったよ。フランスでいくら良い若手と評価されたとしても、そことプレミアで自身の価値を証明するのは全く異なるものなんだ。だが、私はまだサリバのことを信じている。彼はニースへ行って逞しくなったと思うからね。能力的にも元から優れている選手だし、そう遠くないうちにアーセナルへ適応することができるだろう。おそらく、現時点ではニースにおける最高の選手だ。大きな可能性を秘めていると思うよ」(英『Daily Mirror』より)

最初はプレミアのレベルを少し甘く見ていた節もあったが、今のサリバは現実をきちんと認識してリーグ・アンでの戦いに臨んでいるとサニャ氏。はたしてその言葉通り、この20歳はそう遠くないうちにアーセナルの最終ラインを支える大黒柱になることができるのか。一度イングランドで挫折を味わった若者の再起に期待したい。

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