[MIXゾーン]柏に見え始めた“ネルシーニョらしさ” 守備の意思統一から太陽王の反攻は始まる

大分戦で2試合連続の完封勝利を飾った柏のネルシーニョ監督(写真は前節G大阪戦) photo/Getty Images

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2試合連続のクリーンシート達成

ようやく、太陽王にネルシーニョ監督が率いるチームらしさが出てきた。17日に行われた明治安田生命J1リーグ第10節、柏レイソルはアウェイで大分トリニータと対戦。この試合は、前節ガンバ大阪戦でリーグ戦7試合ぶりの勝利を手にした同クラブの粘り強さが光る90分間となった。

トップチームの選手に新型コロナウイルス陽性者が出た影響もあってか、この試合では前節からスタメン3人を変更した柏。しかし、メンバーが入れ替わったなかでも、選手たちはピッチ上できちんと互いにコミュニケーションを取りながら安定した守備を披露した。

前半15分ごろから大分の攻撃にリズムが出始めるも、柏は要所をしっかりと抑える守備で決してゴールを割らせない。大分が得意とするロングボールでの揺さぶりや外側レーンを利用しての攻撃に対しても、味方との距離感を都度修正しながらの対応はできていたと言っていい。ボールホルダーやパスのターゲットとなっている選手に対して、“誰が出ていくのか”という意思統一がチーム全体としてなされていた印象だ。
「とにかくしっかり守れるように、大きな穴を作らないというのは意識しました。相手の25番の選手(MF小林成豪)が下がって受けようとしているので、そこに自分がマンツーマン気味についていくというのはチームの約束事としてありました。そこで大分さんとしては、僕の裏のスペースを狙っていたと思うんですけど、そこはタクミ(上島)とケンゴくん(北爪)に任せて、自分は相手の足元を狙うというのがチームのやり方でした。(守備が機能した要因については)一人ひとりが助け合って、しっかり声を掛け合いながらチームのやるべき仕事をこなせたからこそ、完璧に崩されるようなシーンがなかったんだと思います」

この試合で3バックの右に入った川口尚紀も、大分の攻撃にどう対応するのかについてはチーム内でしっかり連携が取れていたとこのように振り返る。その密なコミュニケーションの甲斐あって、柏は前節に続いて2試合連続のクリーンシートを達成。大分に攻め込まれるシーンも何回かあったものの、試合を通して守備陣の集中力は切れず。53分にMF江坂任が挙げた虎の子の1点を守り切って、今季初の連勝となった。その決勝点を挙げた江坂も、手応えを感じているのは守備の部分だ。

「チームとして、ボールへのプレッシャーの掛け方などが整理されてきました。後ろで最後に踏ん張るところも、ここ2試合は良い守り方ができていると思います。(プレスの掛け方については)最初の形がハマらなくても、この2試合では試合中に選手間で声をかけながらうまく対応することができたと感じていますね」

良い試合はできても勝てない。そんな印象もあった今季序盤戦の柏だが、彼らは着実に“したたかに勝ちを拾える集団”へと変わりつつある。新外国人選手の合流前に、しっかりと守備の組織が構築されてきたことは間違いなく大きい。“勝負師”ネルシーニョの作るチームらしさを、今の柏は取り戻しつつあると言っていいか。あとは上島や大南といった若い選手に試合を通しての安定感が出てくれば、黄色軍団はここからJ1の順位をかき乱す存在となってくるかもしれない。

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