セリエAで大暴れする“異端児FW” チームは最下位、でも得点ランク4位 

今季リーグ戦31試合に出場して17ゴールを決めているシミー photo/Getty Images

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今夏の争奪戦は必死か

もし下位リーグへの降格の憂き目にあうこととなれば、そのクラブはシーズン終了後の移籍市場で選手たちを引き抜かれる“草刈り場”となる可能性がある。力や将来性のある選手に対しては、強豪クラブによる激しい争奪戦が繰り広げられることもあるだろう。

今夏の移籍市場において、激しい争奪戦が繰り広げられそうな選手がセリエAのクロトーネにいる。シミーこと、ナイジェリア代表FWシメオン・ヌワンコだ。2016年夏にクロトーネに加入した同選手は、1年目の16-17シーズンはセリエAで3ゴール、2年目の17-18シーズンも7ゴールと思うような結果を残すことができず、チームもセリエBへの降格を余儀なくされた。

しかし、シミーは徐々にイタリアの環境に慣れてくると、セリエBではあるがゴール数も毎年着実に増やしており、18-19シーズンは14ゴール、19-20シーズンは20ゴールを記録。19-20シーズンはセリエB得点王の活躍で、チームを最終的に2位へ導き、再びセリエAへの舞台へ押し上げて見せた。198センチの恵まれた体格やリーチの長さ、溢れんばかりのパワーなどを武器に、今やクロトーネの絶対的なエースとなっているのだ。こういったセリエBでの活躍もあり、今季はシミーが自身2度目のセリエA挑戦でどれだけ結果を残せるのか、前回のリベンジを果たせるのかに注目が集まった。
第31節終了時点で4勝3分24敗。クロトーネは勝ち点を「15」しか積み上げることができず、最下位に沈んでいる。残り7試合で残留圏内の17位ベネヴェントとは15ポイントも離されており、降格はほぼ免れられない状況となっている。ただそんな中でも、シミーはここまで孤軍奮闘。ユヴェントスのクリスティアーノ・ロナウド(25ゴール)、インテルのロメル・ルカク(21ゴール)、アタランタのルイス・ムリエル(18ゴール)に続く17ゴールで、セリエAの得点ランクで4位につけている。直近7試合で10ゴール(7試合連続ゴール中)と、今セリエAで最も勢いに乗っているストライカーで、個人としてはリベンジ成功と言っていいだろう。

ユヴェントス戦でのゴールはPKによるものだったが、アタランタやラツィオ、ナポリといった強豪クラブからもゴールを奪うなど、シミーは勝負強さを持ち合わせている。さらに、見た目とは裏腹に“柔”の部分も兼ね備えており、第25節アタランタ戦で決めたループシュートはとても鮮やかだった。もしクロトーネが降格することとなれば、28歳(5月7日に29歳)というサッカー選手として脂が乗っている年齢を考えても、同選手を欲しがるクラブは多いのではないか。まずは、チームはセリエA最下位にもかかわらず、得点ランク4位につけているこの“異端児”の残りの試合での活躍が気になるとことだが、今後の動向にも注目だ。

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