数年前までは確実にマンチェスター・シティにとって最も重要な選手だったが、今季は苦戦を強いられることとなっていたイングランド代表FWラヒーム・スターリング。しかし、この快速アタッカーはついに復活へと向かうのか。ペップ・シティで苦しんでいた男に、希望が見え始めた。
2020-21シーズンは、ここまでプレミア27試合に出場して9ゴール7アシスト。決して悪い数字ではないのだが、昨季(20G4A)や一昨季(17G12A)の成績と比べれば物足りない印象が拭えないスターリング。今季の彼に関しては各方面から「明らかに調子を落としている」との声が寄せられている状況で、次第にチーム内における肩身は狭くなっていた。
加えて、先日はジョゼップ・グアルディオラ監督もスターリングの現状に関して「ラヒームは並外れた選手だが、自分のクオリティを発揮する準備ができていない。フォデンやマフレズの状態も良いから、今は彼を無理に使う必要はないんだ」と発言。この時点でフィル・フォデンやリヤド・マフレズと比べて、彼の序列は下になっていたと言っていい。
しかし、現地時間25日に行われたEFLカップ決勝・トッテナム戦におけるスターリングの出来は、低調だったこれまでと少し違った。決して手放しで称賛できるパフォーマンスでこそなかったが、裏への抜け出しや前線からのプレスは確実にトッテナムの脅威に。対峙したセルジュ・オーリエが後手に回るシーンも少なくなく、左サイドの攻防では完全に優位に立っていたと言っていい。最悪の状態から、スターリングはようやく抜け出すことになるのか。そんなことを感じたファンも多かったことだろう。このトッテナム戦におけるプレイが、今後にむけて明るい材料となったことは間違いない。
あとは、兎にも角にもシュート精度の向上が急務の課題だろう。裏抜けやプレスが目立ったとはいえ、依然としてフィニッシュの部分では粗さが目立ったスターリング。データサイト『WhoScored.com』によると、この試合で放った5本のシュートで枠を捉えたのはゼロ。ここを改善しないかぎり、フォデンやマフレズを出し抜くことは難しいはずだ。
とはいえ、絶望的ともいえた状態から、復活の兆しが見えるまでにスターリングがフォームを戻してきたのは事実。まだまだ道のりは長いかもしれないが、彼はこの勢いでペップ・シティの中心へと舞い戻っていくことができるか。再び超速アタッカーが最高級の輝きを放つときを、多くの人が待ちわびている。