堅守崩された名古屋が負ったダメージ 直面する勝点差「9」の現実 

フィッカデンティ監督はここから立て直すことができるのか photo/Getty Images

後半に一矢報いるも連敗を喫する

名古屋グランパスは、5月4日に行われた明治安田生命J1リーグ第12節で川崎フロンターレと対戦し2-3で敗戦。前回に続き敗れ、今季初めての連敗を喫した。

名古屋は0-4という前節での衝撃の敗戦を経て4人先発メンバーを変更。システムも[4-2-3-1]から川崎戦の途中でも採用した[4-3-3]に変え、中盤で米本拓司をアンカーに、稲垣祥と長澤和輝をインサイドハーフで組ませるなど修正を加えてきた。

立ち上がりからその効果は発揮され、序盤から川崎のジョアン・シミッチや田中碧を中心としたパスワークを封じポゼッションの時間を作らせず。攻撃では左サイドに配置されたマテウスがシンプルなクロスを前線の山崎凌吾に供給するなど、相手の土俵に乗らないという意識づけがチーム全員で統一されていた。

それでも、絶対王者が備える底力をここから発揮される。前半31分にCKからジェジエウがヘディングでゴールを奪取。セットプレイで先制点を奪った川崎に徐々にペースを取り戻され、ボールを握られるなかで前回対戦時にも見られた守備陣形が崩される時間帯も増えていく。

そして迎えた後半5分には三笘薫に左サイドから個人で打開されると、クロスに走り込んだ山根視来が合わせ追加点を奪う。さらに後半14分には丸山祐市のバックパスがそのままゴールに入りOGとなり、立て続けに失点する悪癖がまたも出てしまった。

その後、稲垣とマテウスがそれぞれゴールを奪い、試合を壊すことなく立て直したのは、この試合でのなかで得られた収穫だった。とくに途中出場した森下龍矢は、サイドからの駆け上がりでアシストを記録するなど、今後の攻撃のオプションになりうる存在であることを証明した。

それでも前回の4失点に続く3失点を喫しての連敗で、無敗をキープした川崎との勝ち点差は「9」に広がった。絶対的なスタイルを確立する王者相手に堅守を破られ、各チームを苦しめてきた名古屋のスタイルを崩されたダメージは少なくないはずだ。

この2連敗で後方から背中を追うサガン鳥栖や横浜F・マリノスといった今季好調を維持するチームとの争いもこれからは待っている。消耗を強いられた王者との連戦を経て、優勝争いからひとつ目標が下がったという現実とどう向き合っていくかはこれからの名古屋の戦いを左右するだろう。

天王山となった川崎との戦いで連敗を喫し、その強さを見せつけられる形となった名古屋。王者との決戦を経て、マッシモ・フィッカデンティ率いるチームはどう立て直し今季のリーグを戦い抜いていくのだろうか。

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