ついにJリーグに到来した“川崎一強時代” 好循環で築き上げる黄金期

三笘、旗手ら若手の躍動も川崎の大きな強み photo/Getty Images

今季もここまで開幕から14試合負けなし

今季のJ1リーグは新型コロナウイルスによる影響もあり、各チームの試合数にはバラつきがあるものの序盤戦が終了した。そのなかで、ここまで12勝2分けの無敗と昨季と変わらない強さで首位を独走するのが川崎フロンターレである。

今季の川崎は昨季までクラブ一筋で18年プレイし“バンディエラ”と呼べる存在だった中村憲剛が現役引退。さらに、中盤の要のひとりであった守田英正がポルトガルのサンタ・クララに移籍し、戦力の入れ替わりがあり新たなサイクルのなかで迎えたシーズンだった。

しかし、そんな状況でも鬼木達監督率いるチームの強さが変わることはなかった。各チームが“打倒川崎”を掲げてきたであろうシーズンのなかで、序盤から取りこぼしをせずにここまで勝ち点を積み重ねている。懸案事項だったメンバーの入れ替えも、名古屋グランパスから獲得したジョアン・シミッチや、大卒ルーキーの橘田健人といった選手を組み込みながら血の入れ替えを行い、アップデートを図っている。

また、中村憲剛という名手とともにプレイし大島僚太という日本屈指のプレイメイカーが誕生したように、彼らのもとで学んだ田中碧というこれからの日本サッカーを背負う選手も育ってきている。クラブに着々と流れる歴史のなかで、名選手が新たな名選手を生むという好循環も今のチームには流れている。

異例となる序盤での首位攻防2連戦となった直近の名古屋との試合でも、初戦は開始から高い集中力による素早い守から攻への切り替え、各選手の技術を活かしたポゼッションで2位チームを圧倒し4-0で勝利。迎えた2戦目も、対策を練られ苦しい時間もあったなかでしっかり得点を取り切り、3-2で勝点3を積み上げることに成功した。

川崎は2017年にリーグで悲願の初優勝をはたすと、翌年もリーグを制し連覇を達成。2019年シーズンこそ4位に終わったものの、昨季は2位のガンバ大阪に勝ち点差18もの大差をつけ3度目の優勝を飾った。各選手が経験を重ねるなかで勝者のメンタリティが備わり、常勝チームとしてのプライドや凄みが感じられるようになった。名古屋相手の連勝劇はこれまでの積み重ねの賜物ではないだろうか。

Jリーグの歴史においては、90年代に三浦知良をはじめとするスター軍団で強さを誇ったヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)や、ドゥンガらのタレントを擁したジュビロ磐田。2007年から3連覇した鹿島アントラーズや、2012年から4年で3度の優勝をはたしたサンフレッチェ広島といったチームが黄金期と呼べる時期を過ごしてきた。

そんな過去のチームと比較しても、今の川崎はひときわ輝いて見える。今季もこのままの勢いを持続できれば、ここ5年で4度目のリーグ制覇を経験することになる。ブンデスリーガのバイエルンや、今季は優勝を逃したもののセリエAのユヴェントスなどが、欧州サッカーでは長らく“一強時代”を築いてきた。毎年のように優勝争いが変わる傾向があった日本のJ1リーグだが、ここに来てその流れが変わりつつある。

Jリーグ史上に残る強さで他チームとの差を広げ、首位を快走する鬼木監督率いるフロンターレ。はたして、今後の日本サッカーにおいて“川崎一強時代”はこれからも続いていくのだろうか。

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