オレンジ軍団“守備の要”はEUROに間に合うか 最高級CBをめぐるジレンマ

負傷離脱前までは主将としてオランダ代表を牽引していたファン・ダイク photo/Getty Images

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絡み合うそれぞれの想い

はたして、オランダ代表は今夏開催予定のEURO2020に守備陣の要を連れていくことができるのか。その守備陣の要とは、もちろん所属するリヴァプールで負った怪我からの復帰が待たれるDFフィルジル・ファン・ダイク(29)のことである。

“現世界最高のセンターバック”。そんな呼び声も高い守備者なだけに、オランダ代表としては彼を招集したい気持ちが強いだろう。ほかにも優秀なCBが揃っている同代表ではあるが、ファン・ダイクの存在感は別格と言っていい。主将としてもチームを引っ張っていた男が抜けるとなれば、総合力の低下は免れないはずだ。

ゆえに、オランダ代表を率いるフランク・デ・ブール監督もこの状況にはかなり気を揉んでいることだろう。「彼のキャリアなのだから、最終的に決めるのはフィルジル自身だ」。先日はこのように発言したものの、招集できるのであればスカッドに加えたいのは間違いない。
しかし、ここで急いで招集するとなると、リヴァプールとの関係が悪化する恐れも。長い時間をかけてリハビリに励んできたなかで、復帰早々EUROに出場するのはやはりリスクが大きい。大舞台での試合となれば、試合強度は他のフレンドリーマッチなどとは比べ物にならないほど高くなるだろう。無理に招集してファン・ダイクが再度負傷することにでもなれば、今後の招集に影響が出る可能性は高い。

「フィルジルに行かないでくれと強制することはできない。ただ、トーナメントでプレイしたい場合は、事前に適切なトレーニングを行ってからにして欲しいね。最低でも数週間はそれで準備する必要がある。ただ、誰も彼を引き留めることはできない。オランダの人々に誓って、私たちは誰一人として彼に招集拒否を申し出るように要求したりはしていないよ」(英『Daily Mirror』より)

リヴァプールのユルゲン・クロップ監督はこのように発言しているが、やはりファン・ダイクにEURO行きを思いとどまってほしい気持ちもあるようだ。先日は足の違和感を隠して練習に参加していたドルトムント時代のMFイルカイ・ギュンドアンにブチギレたエピソードも明かされたクロップ監督。選手を思う気持ちは人一番なだけに、心中穏やかではないか。

いずれにせよ、ファン・ダイクの状態が上がってこなければ招集は見送られる可能性が高い。まずは今季中にリヴァプールの試合で復帰することが、EURO参加への最低条件となってくるか。さまざまな思いが交錯するファン・ダイクのEURO行き。オランイェの最終ラインに彼がいれば頼もしいことこの上ないが、状況は非常に複雑なものとなっている。

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