[MIXゾーン]G大阪は手詰まりになりつつある 解決の“ミラクルレシピ”は存在しない

厳しい戦いを強いられているG大阪の宮本監督 photo/Getty Images

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狙いを体現できた広島、できなかったG大阪

「去年のG大阪の情報は聞いていて、リーグ戦を2位で終えて沢山の勝利を手にしたチームだが、今年はスタートで出遅れていて正直自信を皆が少し失っているのかなと感じる」

 この試合で途中出場し、JリーグデビューとなったMFウェリントン・シウバの言葉だ。チームに合流して間もないだけに、逆にチームのムードを客観的に見られる立場にもある。その彼をしてこの言葉が出てくるのだから、今のG大阪の状態が非常にまずいものだということが分かる。

 この試合はG大阪の基本システムである[4-4-2]に戻し、前の試合ではサイドでプレイすることを要求された一美がパトリックと並んでツートップのポジションに入った。前半終了間際にCKからゴールを決めた一美は「G大阪でデビューして、今まで得点では貢献できていなかったので、今は初めて貢献できたという自覚がある。これからもっと活躍してG大阪の選手として結果を残してアピールしたいし、スタートラインに立てた気がする」と喜んだ。ただG大阪の得点はこの1点のみに終わった。
 宮本監督はシステム変更の狙いを「お互いの距離感を大事にしながら、テンポよくボールを動かしながら相手ゴールに迫るという部分で、そういった狙いのところもできたところはあった」と振り返った。

 しかし「最後仕上げの手前のところのプレイは改善しなければいけない」と反省の言葉を口にした。

 ただ残念ながらこの問題はリーグ開幕以来ずっとチーム内に存在しており、その解決の糸口は見えてこない。この試合はシステムにそれを求めたが、結果が出なければ、再び修正を迫られる。勝てないチームに共通するが、段々手詰まりになり、最後の解決策は監督の首をすげ替えることに行き着く。客観的に見て今のG大阪は危険水域にある。ちなみに前任のクルピ監督(現C大阪監督)は17試合を終えて順位は16位の時点で任を解かれている。

 ここまで6戦勝ちなし(2分4敗)と喘いでいた広島だが城福監督は「Jリーグはしばらく勝っていなかったし、我々が今年目指すものを考えればここで引き分けも苦しいと思っていた。どうしても勝点3が取りたかったし、チームの雰囲気も変えたいと思っていた。今日勝点3を取れて少しは雰囲気を変えられたと思っているし、後から(途中交代で)出た選手も含めて選手全員で気持ちをつなぎ、本当に勝利に対する執念を見せられた試合になったと思う」と喜びを語った。

 勝てないプレッシャーに押しつぶされそうになりながら手に入れた勝点3が大きくチームのムードを変えてくれることを誰よりも願っているのが城福監督だろう。ただそれが容易に手に入るものではないことを一番知るのも彼自身である。

「我々の望むステージでリーグ戦を戦うために、何か『ミラクルレシピ』がある訳ではないと選手に伝えた。自分たちがやってきた守備、我々がやろうとしている攻撃のポジショニング、クオリティを走りながらでもひとつひとつクリアしていくことでしか我々が望むステージに立つことはできないと思っていた。それは選手に伝えていた」

 ただこれが1試合に終わるのか、それとも改善し今後に繋がっていくのかはまだ分からない。

 結果的には広島は狙い通りの攻撃で2点を奪い、G大阪はセットプレイからの1点だけに終わった。その差が何なのかを指揮官に自問自答を迫る試合だった。サッカーに『ミラクルレシピ』は存在しない。


文/吉村 憲文

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