ブッフォンは良い監督になる? “第2GK”としての2年間が持つ大きな意味

試合後にはしっかりと仲間たちを讃えるブッフォン(中)photo/Getty Images

「オレもベンチにいた。我慢しろ」と言える

ユヴェントスに所属する元イタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォンは11日、メディアを通じてシーズン終了後の退団を明言。今季限りでユヴェントスでの2度目の旅に、終止符を打つこととなった。ブッフォンにとって、この2年間はどういう意味があったのか。

40歳の節目となる2018年に一度は引退を表明するも、前言撤回して夏にパリ・サンジェルマンへ移籍。そして、フランスで1年間プレイしたのち、ブッフォンは2019年夏から再びユヴェントスでプレイすることを決断した。ただ、この復帰には一つの条件があった。もちろん復帰後に実力でポジションを奪い返すことは可能だろうが、あくまで正守護神はヴォイチェフ・シュチェスニーで、第2GKという立場を受け入れることだ。

長年、欧州サッカーを牽引し、数年前までは世界最高のGKと称されたブッフォン。40歳にして初の海外挑戦となったPSGでも公式戦25試合(リーグ戦は17試合)に出場するなど、一定の出場機会を得られていた。それだけに、15年以上もプレイした愛するクラブといえども、第2GKという立場を受け入れるのは、決して簡単なことではなかったに違いない。葛藤もあっただろう。しかし、ブッフォンはそれを受け入れた。出番は国内のカップ戦が中心で、昨季セリエAのピッチに立ったのはわずか9回。リーグ戦の出場数が二桁にとどかなかったのは、当時17歳だったパルマでのデビューシーズン(1995-96は9試合の出場)以来だ。今季もここまでリーグ戦8試合(公式戦13試合)にとどまっている。

しかし、ブッフォン曰く、第2GKという立場で過ごしたこの2年間には、自身の将来において大きな意味があったようだ。伊『sky sport』などによると、この2年間を次のように振り返っている。なお、今後20〜25日くらいかけて、ゆっくり考えながら自身の将来について結論を出す模様で、43歳という年齢を考えると、そういった考えになるのは当然だろうが、引退も視野に入れているという。

「ユヴェントスでの2度目の経験は非常に良いものとなった。私がユヴェントスへの復帰を選択した理由はいくつかあるけど、そのうちの1つは自分自身の人間力をテストしたかったからなんだ。私は常にピッチに立てない人たちを鼓舞しなければならなかったし、ベンチでもポジティブに接して彼らを刺激してきた。控えでもしっかりとした態度を取れるか確認したかったんだけど、ベストを尽くせたと思うよ。いつか私が監督になるようなことがあったとしても、私は選手たちに『オレもベンチにいた。我慢しろ』と言えると思う」

熱いハートを持ったブッフォンがいつの日かチームを率いるのは、多くのファンが期待しているところかもしれない。しかし、良い選手が良い監督になれるとは限らない。経験豊富なブッフォンといえども、例外ではないだろう。ただ、その名を欧州中に轟かせるような戦術家になれるかはわからないが、2度目のユヴェントスでの経験により、選手の気持ちを考えられる、選手に寄り添える素晴らしい監督にはなれるのではないか。いつになるかはわからないが、“ブッフォン監督”の姿も楽しみで仕方がない。

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