得点数だけで判断してはいけない マンUの“次世代エース”に見える成長の跡

得点数こそ昨季よりも減少したが、着実に成長を見せている今季のグリーンウッド photo/Getty Images

着実に階段を昇る19歳

シーズン19得点を挙げて一躍ブレイクを果たした昨季とは打って変わって、マンチェスター・ユナイテッドのFWメイソン・グリーンウッドは今季なかなか思うような結果を残すことができなかった。数字だけを見れば、そんな印象を抱く人がいるかもしれない。なにしろ、今季はここまで公式戦50試合に出場して12得点。決して悪くない数字だが、昨季と比べればゴール数が落ちているのは事実だ。しかし、その数字だけでは見て取ることができない成長を、2020-21シーズンの彼は見せてくれたと言っていい。

「ゴールデンボーイは一発屋だったのか」(英『The Sun』)、「ラヴェル・モリソンになりつつある」(英『Daily Mirror』)。シーズン途中、一時はそんな意見も目についた。とはいえ、今季の彼を評価するにあたって、注目すべきはその得点数ではないだろう。もちろん、ストライカーである以上はそういった明確な数字も大切だが、それ以外の部分でこの19歳が成長した点は多い。

特に光ったのはオフ・ザ・ボールの部分。昨夏このプレイを得意とするFWエディンソン・カバーニが加入したことによる影響もあってか、今季のグリーンウッドはボールの受け方などといった細かなプレイの質が向上。守備への切り替え時に相手をチェイスする動きにも磨きがかかった印象で、ディティールの部分における成長は大いに感じられた。

肝心の攻撃面でも得点数こそ昨季より少ないが、シュートの数自体は増加。2019-20シーズンに1試合あたり1.3本だったシュート数は、今季2.1本にまで上昇している。フィニッシュまでの持ち込み方が洗練されたことは、こういった面からも見て取ることができる(スタッツはデータサイト『SofaScore』より)。加えて、これまで苦手とされていたヘディングにも改善が見られるのは良い傾向だ。

「トップレベルのプレイスピードに到達するにはあと数年必要だと思う。でも、僕はまだ19歳で成長過程にある。今季は前線でタメを作る動きが改善されたと思うよ。トップに上がったばかりの頃と比べて簡単にロストすることが減ったと思う。プレミアのスピードをようやく理解できた気がするよ」(英『Daily Mirror』より)

グリーンウッド本人も、今季における自身のスキルアップは実感している様子。手応えを感じているボールキープの部分にはまだ改善の余地が見えることもあるが、フィーリング自体はかなりポジティブなようだ。

決して表面的な成績だけで測ることはできない2020-21シーズンにおけるグリーンウッドの成長。プレミアリーグの若手ではMFメイソン・マウント(チェルシー)やMFフィル・フォデン(マンチェスター・シティ)の躍動にも注目が集まっているが、マンUの次世代スターも着実にトップスターへの階段を昇っていることを忘れてはいけない。

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