アヤックスで出番なかった男の逆襲劇 セリエAで花開いた“いぶし銀”MFの才能

昨夏カリアリに加入したマリン photo/Getty Images

攻守でカリアリに欠かせぬ存在に

2020-21シーズンのセリエAにおいて注目を浴びた中盤戦士といえば、インテルのイタリア代表MFニコロ・バレッラやACミランのコートジボワール代表MFフランク・ケシエといった面々が真っ先に思い浮かぶ。好成績を収めたチームで中心的な役割を務めた選手だけに、彼らには各方面から称賛の言葉が寄せられている。

しかし、その陰では中堅クラブで奮闘した選手がいたことも忘れてはいけない。彼らほどネームバリューがあるわけではないものの、渋い仕事ぶりでプロビンチャを助けた存在。中小規模のクラブにもそういった面白い存在はいるのだ。そのなかで今回注目したのは、カリアリに所属するルーマニア代表MFラズバン・マリン(25)だ。

昨夏アヤックスから1年間のレンタルでカリアリに加入したマリン。アヤックスではなかなかプレイタイムを伸ばせていなかった同選手だが、カリアリ加入以降は前所属時代の鬱憤を晴らすかのように躍動した。最終的に、今季は累積警告による出場停止となった第34節ナポリ戦を除く全37試合に出場。3ゴール6アシストを記録し、今ではカリアリに欠かせない存在になったといっていい。今季は残留争いに巻き込まれた同クラブだが、そんな緊急事態でもセリエAに踏みとどまることができたのは彼の貢献によるところも大きかった。

そして、マリンの貢献度の高さはスタッツにも表れている。データサイト『SofaScore』によると、今季の同選手がリーグ戦で記録したパス成功数(1330本)やパス成功率(87.5%)、キーパス数(69本)、地上戦勝利数(111回)、タックル数(54回)などはいずれもチーム全体でトップ3に入る数字。得意の攻撃だけでなく、守備面でもチームに貢献していたのは称賛に値すると言える。

攻守両面でカリアリの中盤に欠かせない存在だったマリン。アヤックスでは出場機会に恵まれなかったものの、このルーマニア代表Mは一気にブレイクする予兆を見せている。今夏にはレンタルから完全移籍に移行する予定となっており、引き続き同じ環境でプレイできるのは彼にとっても追い風となるだろう。はたして、イタリアで大きな可能性を見せたマリンは今後どこまでスケールの大きな選手となっていくのだろうか。彼の成長を見守るのは、セリエAファンにとって新たな楽しみの一つとなるはずだ。

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