一時は評価を高めるも低迷中 カンセロは以前の輝きを取り戻せるのか

ブレイクを果たしたカンセロ photo/Getty Images

評価が難しい今季のカンセロ

マンチェスター・シティが優勝して幕を閉じた今季のプレミアリーグでは、ウェストハム・ユナイテッドのジェシー・リンガードやレスター・シティのケレチ・イヘアナチョが大ブレイクを果たし、両チームを躍進させている。優勝クラブであるマンCにもこの2選手には及ばずとも、今季自身の価値を高めた選手がいる。ポルトガル代表のジョアン・カンセロだ。

2019年にユヴェントスからダニーロとのトレードでやってきたカンセロ。初年度はあまり出場機会を得られなかったが、本職ではない左サイドバックとして頭角を現した。そして、今季彼を一躍有名にした「カンセロ・ロール」を編み出し、一時はクラブの顔ともいえる活躍でチームに貢献している。

そんなカンセロだが、現状は一時の輝いていたころの姿はなく、ベンチを温める時間が長くなっている。元の守備での軽さも問題だが、チームの主力であるケビン・デ・ブライネとの共存が課題となっている。

「カンセロ・ロール」はデ・ブライネが負傷した際に指揮官であるジョゼップ・グアルディオラに生み出されたものである。その特徴であるインサイドハーフのような動きはベルギー代表MFと被ることが多く、わざわざ前線に人数を増やして右サイドのスペースを空けてまでリスクを背負う必要がないため、現在は守備に強みを持っているカイル・ウォーカーが右サイドバックのファーストチョイスとなっている。

そうなるのであれば、中央に顔を出さずサイドをオーバーラップするオーソドックスなサイドバックを演じればいいのだが、それではカンセロの強みは生かせず並みのサイドバックとなってしまう。

また、前述した守備での軽さや不用意なパスミスは今後の課題となるだろう。CLのパリ・サンジェルマン戦では一つのミスが失点の繋がるような緊張感があり、PSGとの1stレグではオレクサンドル・ジンチェンコと交代でベンチに下がっている。指揮官が判断した明確な理由は分からないが、プレイの軽さが一つの要因であると予想できる。

このように現在は以前のように存在感を発揮できていないカンセロ。このままでは今後も控えに回る可能性が高いだろう。

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