ピルロの起用法は間違っていた!? かつて“バッジョの再来”とも呼ばれた逸材の本来の輝き

キャプテンマークを巻いてプレイしたベルナルデスキ photo/Getty Images

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楽しんだときこそ、クオリティが発揮される

やはりアンドレア・ピルロ前ユヴェントス監督は、イタリア代表MFフェデリコ・ベルナルデスキの起用法を間違えていたのか。

現在27歳のベルナルデスキはチャンスメイク能力や得点能力の高さ、華麗なドリブルといった攻撃力を武器に、下部組織からプレイしてきたフィオレンティーナで脚光を浴びる。そして、チームの10番を背負っていたこともあり、ロベルト・バッジョの再来とも呼ばれ、その系譜を辿るように2017年夏にユヴェントスへ移籍した。

イタリアの絶対王者の一員となって以降は、フィオレンティーナ時代ほどのインパクトは残せていないかもしれない。ただ、複数のポジションをこなせるそのユーティリティ性を活かし、ウイングやトップ下などで一定の結果は残してきた。しかし、ユヴェントス加入4年目の今季は、新指揮官にアンドレア・ピルロが就任すると、持ち味の攻撃だけでなく守備への比重も大きくなるウイングバックとして起用されることが多く大苦戦。時には、DFラインに入り込むサイドバックとして起用されることもあった。その結果、今季公式戦39試合に出場し、多くは途中出場ではあったが、限られた時間にもかかわらず杜撰なプレイを見せることもしばしばあり、メディアやファンから試合後に厳しい批判を浴びることもあった。
しかし、28日に行われたイタリア代表対サンマリノ代表との一戦。この試合でベルナルデスキはアッズーリのキャプテンマークを巻き、本職の右ウイングとしてスタメンに名を連ねた。すると、はるか格下相手ではあったが、今季のユヴェントスでの姿とは全く別人のような、今季の鬱憤を晴らすかのような素晴らしいプレイを披露する。

まず31分にミドルシュートで先制点を奪い、自身にとっての2021年に入って初ゴールを記録したベルナルデスキ。67分にはアンドレア・ベロッティのゴールを、86分にはマッテオ・ペッシーナのゴールをアシストし、1ゴール2アシストの大活躍で7-0の大勝に大きく貢献したのだ。また、縦横無尽に動き回り、あちらこちらで顔を出して攻撃の起点となったり、バイタルエリアでボールを受けてチャンスメイクしたりと、パスの目の付け所やそのタイミング、スペースの使い方なども冴え渡っていた。

試合後、伊『Rai Sport』のインタビューでベルナルデスキは「マンチーニは、いつも僕のことを信頼してくれた。僕は監督に感謝しているよ。だから恩返しがしたかったんだ」と述べつつ、次のように語っている。

「マンチーニは、常に僕の特長に合った役割でプレイさせようとしてくれている。それは、僕がここでサッカーを楽しめることを意味するんだ。サッカーは楽しんだときこそ、そのクオリティが発揮されるものだよ。ここではリスクを冒すことが許されているので、より自由さを感じることができているのは間違いない」

指導者経験がゼロであろうと、現役時代にはたくさんの一流選手たちと一緒にプレイし、中盤の底で彼らの才能を活かしてきたピルロが、ベルナルデスキの特長を理解していないわけはないだろう。彼は自身が目指すサッカースタイル(可変システムなど)を創り上げていく上で、ベルナルデスキの新たな才能の開花に期待していたに違いない。ただ、やはりベルナルデスキはイタリア代表指揮官のロベルト・マンチーニのように、素直に攻撃的な選手として起用した方がよりその才能を発揮したり、輝きを放ったりできる。サンマリノ戦でそのことが実証されたかもしれない。

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