ハフェルツを蘇らせた指揮官の手腕 21歳の逆襲劇に不可欠だったトゥヘルの存在

トゥヘル監督の就任によって、新たなポジションでプレイするチャンスを得たハフェルツ photo/Getty Images

新監督のCF起用で逆襲劇

壮大な逆襲劇の完了。まだ移籍初年度を終えたばかりではあるものの、2020-21シーズンはチェルシーのドイツ代表MFカイ・ハフェルツにとってドラマチックな1年となった。

シーズン開幕からしばらくはフランク・ランパード監督の下で出場機会の獲得に苦しむこともあったハフェルツ。チームの中心人物であるMFメイソン・マウントとメインポジションが被り、サイドでの起用が主となっていたことも関係してプレイタイムはまばら。そんな時期があったことも、まだ記憶には新しい。

しかし、シーズン途中にトーマス・トゥヘル監督が就任したことによって、ハフェルツのそんな状況は一変した。新指揮官の下で徐々に出場機会を増やしていった同選手。そこからはドイツ時代から注目されていた得点力も存分に発揮し、ついにはチャンピオンズリーグ決勝で値千金の決勝ゴールを挙げるまでの選手となったのだ。

そんなハフェルツの逆襲を始めたキッカケとなったのは、やはりセンターフォワードで出場する機会が増えたことにあるだろう。得意のテクニックを武器に前線に起点となることもできれば、タイミングを見計った裏への飛び出しも無難にこなす。トゥヘル監督の慧眼は、この21歳を再び表舞台で輝かせた。

「今こそ良いプレイを見せるときだ。簡単なことではないけれど、どんどんプレイを改善させていく必要がある。ベストを尽くすよ。もうチェルシーに来てから6ヵ月が経過した。にもかかわらず、現状僕はあまりゴールに絡むことができていない。良いチャンスを仲間が提供してくれるんだけど、どうにもゴールも前では決定的な存在になれていなかったね。リーズ戦でも惜しいチャンスが2度あった。言い訳をするつもりもない。これからはさらに一生懸命努力して、次回により良いプレイを披露したいと思っているよ」(英『Daily Mirror』より)

これは今年3月にハフェルツが残したコメント。うまくいかない時期も続いていたが、この頃から選手本人もCFでの起用には手応えを感じていたことが窺える。

自身と同じドイツ人の指揮官と出会ったことで、その実力を存分に発揮できるようになったハフェルツ。移籍初年度の前半戦こそ難しい立場にあった若者だが、今後は絶対的な存在としてチェルシーの攻撃陣に君臨していくことになるか。まだ先のことはわからないが、今季終盤戦における彼のパフォーマンスが未来に向けて希望に満ち溢れていたものだったことは間違いない。

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