研究され始めたベルマーレの[3-1-4-2] 懸念材料は、大きすぎる山田直輝の負担

ハイプレスの起点やフィニッシャーとして存在感を示してきた山田だが、神戸戦では持ち味を発揮しきれず(写真は6月20日の浦和戦)photo/Getty Images

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狙われたアンカーの両脇のスペース

3日に行われた明治安田生命J1リーグの第21節で、湘南ベルマーレとヴィッセル神戸が対戦。ベルマーレは12分にショートカウンターから抜け出したFWタリクが先制ゴールを挙げたものの、17分に相手のFW古橋亨梧に最終ラインの背後を突かれ、同点ゴールを奪われる。前半アディショナルタイムにはMF山口蛍に左サイドからのクロスを物にされたほか、63分にもロングカウンターからMF中坂勇哉にゴールを奪われ、最終スコア1-3で敗れている。

中盤ダイヤモンド型の[4-4-2]という布陣を敷いてきたヴィッセルに対し、ベルマーレは[3-1-4-2]という布陣を基調としたハイプレスと、[3-4-2-1]という布陣での自陣への撤退守備を使い分け。ハイプレスが効いていた時間帯もあったが、アンカーの田中聡の両脇のスペースを、ダイヤモンド型の中盤の両サイドで起用された相手MF郷家友太と山口、中盤に降りてきたFWドウグラスに狙われたり、このスペースにパスを通されてヴィッセルに押し込まれる場面があった。象徴的だったのが5分すぎの場面で、MFイニエスタに田中の脇のスペースを通るパスを通され、パスを受けた郷家に危険なクロスを放たれている。

ヴィッセル陣営の狙いを察知したのか、ベルマーレの守備は前半の途中から、左インサイドハーフの山田直輝をボランチの位置へ降ろした[3-4-2-1]の布陣での自陣撤退がメインに。山田は自陣と敵陣を行き来し、攻守両面で奮闘していたが、始動ポジションが低くなったことで攻撃参加が遅れる場面もしばしば。41分すぎには相手のパスをカットするべくボランチの位置から飛び出したものの、MFサンペールの機転の利いた縦パスで同選手のプレスが無力化され、ぽっかりと空いた田中の左隣のスペースを郷家に使われてしまった。
山田が得意とするのはハイプレスの起点や敵陣でのパスワークに絡む動きであり、自陣の深いところでボールを刈り取ることではない。同選手のキーパスが0本に終わったことを踏まえると、この試合で彼をボランチの位置まで降ろして守備をさせたことは、デメリットのほうが目立ったと結論づけることができるだろう。お馴染みの[3-1-4-2]の布陣が相手に研究され始め、アンカーの両脇のスペースを突かれるようになった今、ボールを刈り取る力が高いMF中村駿もしくはオリベイラを田中と組ませて2ボランチを形成し、山田を2シャドーの一角に置いた[3-4-2-1]の布陣を次戦以降に採用するといった工夫が必要なのかもしれない(数値はデータサイト『SofaScore』より)。

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