スペインに見えた“未来への希望” この悔しさはカタールW杯にぶつけるべし

屈強なイタリア守備陣に相対しても、頼もしさを見せてくれたオルモ photo/Getty Images

最後はPK戦で惜敗も

決勝トーナメントはすべて延長戦。死闘に次ぐ死闘を乗り越えてベスト4にまで駒を進めたスペイン代表だが、彼らのEURO2020における旅路はここまでとなってしまった。日本時間6日深夜に行われた準決勝のイタリア代表戦にて、ラ・ロハはPK戦の末に惜敗。2大会ぶりの優勝を狙っていたものの、その夢は今大会で勢いに乗るアッズーリに絶たれることとなった。

多くの時間で試合を優位に進めていたこともあり、スペイン代表の面々にとっては相当に悔しい敗戦となったことだろう。似たスタイルを持つ相手に対して、やりたいことをさせずにゲームをコントロールできている時間は長かった。実際、スペイン代表のボール支配率は120分間で実に71%を記録。イタリア代表もボールを持ちたいチームだが、スペイン代表の面々はそれを凌駕するポゼッションの技術でアッズーリを苦しめた。結果的に敗戦とはなったが、その奮闘は称賛に値するものだったと言える。

それだけに、スペイン代表の面々は肩を落とす必要もないだろう。もちろん敗戦は悔しいが、欧州でもトップを争えるほどの実力があることは再認識できた。来年にはカタールW杯も開催されるだけに、気持ちは早めにそちらへ向けていくべきか。

そのカタールW杯に向けて、若い力が躍動したのも嬉しい。特にこの試合で目立ったのは、偽9番として起用されたMFダニ・オルモ(23)だ。典型的な9番タイプではないものの、ピッチの至るところでボールに触れつつ味方のパスワークにリズムをもたらした同選手。華麗なターンで相手のプレスを回避するシーンも目立ち、スペインの攻撃において彼が重要な役割を担っていたことは間違いない。

80分にFWアルバロ・モラタが挙げた貴重な同点ゴールも、小気味良いテンポでラストパスを出したのはオルモだった。攻撃陣において23歳の選手が中心を担ったのは未来に向けて明るい材料と言えるだろう。大会を通してインパクトを残したMFペドリ(18)と併せて、若手が頼もしい姿を見せてくれたのは大きな収穫だ。

ベスト4で姿を消すこととなったものの、EURO2020でスペイン代表に見えた“未来への希望”。もしかすると、ラ・ロハはカタールW杯までにもう何段階も上のレベルのチームに変貌を遂げるかもしれない。

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