消えた“ポゼッション率信仰”、5年で急増した3バック EUROに見るトレンド

デンマークも3バックを使用していた photo/Getty Images

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EURO2016とは違いも


今回のEURO2020でも当たり前の光景となっていたが、現サッカー界では3バックを採用するチームが急激に増えている。

クラブシーンでもトーマス・トゥヘル率いるチェルシーが3バックを軸にチャンピオンズリーグ制覇の成功を収めているが、そのトレンドは代表チームにも持ち込まれている。

前回のEURO2016でもイタリア代表、ウェールズ代表など一部のチームが3バックを採用して結果を残していたが、米『ESPN』によれば前回大会は全体の13%にあたる時間帯しか3バックは使用されなかった。
ところが、今大会はそれが40%まで増えている。ベスト4に入ったデンマーク代表、ベスト16でフランス代表を撃破したスイス代表にも3バックのオプションがあり、ドイツ代表、イングランド代表、ベルギー代表なども3バックを使用している。

攻撃時には両ウイングバックが幅を取り、守備時には5バックの形へ変更する。これは世界のスタンダードとなりつつあり、守備時に後ろの枚数を増やすことでギャップを潰すことも出来る。しばらくはこのブームが続くかもしれない。

スペイン代表のポゼッション率は高かったが…… photo/Getty Images

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このトレンドは今後も続くか

また、それに合わせてポゼッション率に注目が集まる機会が減った。スペイン代表とバルセロナが世界を支配していた頃はポゼッション率が優劣を判断する1つの指標になっていたが、今のサッカー界はその数字にこだわっていない。

今大会を通して平均ポゼッション率が55%を超えていたチームは、61.8%のドイツ代表と72.9%のスペイン代表の2チームのみ。もちろんスペインはベスト4まで進んでいるため、ポゼッションが無駄になったわけではない。今でもボールを保持することがゲームの支配に繋がるケースもある。

ただし、そのスペインをイタリア代表は準決勝にて29%のポゼッション率で撃破してみせた。パス本数もスペインの908本に対して387本と少なかったが、それでも問題はない。現代ではポゼッション以上に攻守の切り替えが重視され、イタリアも効果的なカウンターアタックを仕掛けていた。

圧倒的なポゼッション率でEURO2008、2010年のワールドカップ、EURO2012を制したスペイン、そのスペインから学び、ポゼッションも出来るチームとして2014年のワールドカップを制したドイツがその後の国際大会で苦戦気味なのは興味深い。タレントの問題もあるだろうが、トレンドの移り変わりも多少は影響しているのだろう。

2022年のワールドカップ・カタール大会でも3バックを軸に戦うチームが増えるのか。森保ジャパンでも3バックがテストされる機会があったが、今の時代は4バックと3バックを当たり前のように使い分けていくのがスタンダードなのだろう。

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