まだ底が見えないアッズーリ 形勢逆転の一手となったマンチーニの名采配

監督の重要性を再確認した試合となった photo/Getty Images

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ストライカーを下げる大胆な采配

イタリアの優勝で終わったEURO2020。イングランドとの決勝戦では開始早々に失点を喫し、出鼻をくじかれることになったが、そこで沈むことなく盛り返し、白星を掴んだのは今のアッズーリの強さが表れていると言える。しかし、失点後は完全にイングランドに主導権を握られており、それは後半まで続くことになった。明確に流れを変えたのはロレンツォ・インシーニェのポジションを中央に変更してからだ。

それまではチーロ・インモービレを9番に置き、ニコラ・バレッラ、マルコ・ヴェラッティを中心とした従来通りの組み立てを行っていたが、相手のカルヴィン・フィリップスとデクラン・ライスに前述した2人を抑えられており、前半は手も足も出なかった。

そこでロベルト・マンチーニは純粋なストライカーであるインモービレを下げ、ウインガーであるドミニコ・ベラルディを投入。ここで前線のポジションを変更し、インシーニェを中央に置いた。インシーニェはインモービレと違いDFを背負うことなく、バイタルエリアでボールを捌く、いわゆる偽9番の動きで受け手となり、徐々にイングランドを敵陣に押し込むことに成功する。その流れからディフェンスラインを上げられなくなったイングランドに対し、フェデリコ・キエーザのドリブルで好機を創出し続け、レオナルド・ボヌッチのゴールで同点に追い付いている。

その後は得点の動きこそなかったもののイタリア優勢で時間が進み、PK戦の末アッズーリの勝利となった。これまでの戦い方を封じられ、どうなるかと思われたが、マンチーニの采配は大当たりであった。また、ゴールなくベンチに下がったインシーニェだが、彼もイングランドの堅守を崩す重要な役割を遂行しており、イタリアに勝利をもたらした選手の一人であると言える。

この勝利でワールドカップ・カタール大会の大本命となったイタリア。今後の世代交代も含め、非常に楽しみなチームである。

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