ユーヴェで苦しんだ“ファイター”がガスペリーニの下で化ける!? アタランタでブレイクの予感

7日のウェストハム戦で早速ピッチにたったデミラル(右)photo/Getty Images

アタランタのスタイルにマッチ

ジョルジョ・キエッリーニやレオナルド・ボヌッチの後継者として期待されるも、ユヴェントスで思うような出場機会を得られず、トルコ代表DFメリフ・デミラルは今夏にアタランタへのレンタル移籍を決断した。この移籍は同選手にとって、大きな転機になるのではないか。

現在23歳のデミラルは、2019年夏にユヴェントスへ加入。この2年間は怪我にも悩まされ、公式戦32試合の出場(1ゴール2アシスト)にとどまった。調子が上がっていき、スタメン出場が増えてきている最中での離脱を繰り返し、なかなか結果が残せなかった印象だ。

ただ、決して自身の能力を証明できていなかったわけではない。ピッチに立てば、190センチを超える恵まれた体格と、身体から溢れ出る闘志で存在感は抜群。ときには気合いが空回りして不用意なカードをもらってしまうこともあったが、対人や球際の強さはピカイチで、チームの窮地を何度も救ってきた。ペナルティエリア内でも、相手に臆することはない。フィジカルとスピードの両方を兼ね備え、状況判断能力も高く、同期のオランダ代表DFマタイス・デ・リフトに引けを取らないポテンシャルを持っていると言っても過言ではない。

そんなデミラルが出場機会を求めて、新天地に選んだのがアタランタだ。アタランタは近年、欧州で多くの人々を魅了しているクラブのひとつ。今夏に開催されたEURO2020でも、アタランタに所属する選手たちがたくさん躍動していた。

チームの特長は[3-4-1-2]もしくは[3-4-2-1]をベースに、激しいマンツーマンディフェンスと素早いトランジションを活かした縦に早い攻撃。特に、中途半端な守備が許されないアタランタのマンツーマンディフェンスにおいては、デミラルの高い身体能力や対人能力が大いに活かされるのではないか。そして、この守備は縦に早い攻撃へ繋げるための始まりであり、デミラルは新シーズン、攻守両面において貴重な存在となる可能性が。ファイター型のデミラルのスタイルは、ガスペリーニ・アタランタのスタイルにマッチしているように思う。

アタランタではタフさが求められるため、懸念材料があるとすれば、ユヴェントスで悩まされた怪我がちなところ。昨季の主力であったアルゼンチン代表DFクリスティアン・ロメロがトッテナムへ移籍することとなったが、怪我さえしなければ、デミラルはその穴を埋めるには十分な存在だろう。

先日、クラブのYouTubeチャンネルにて「アタランタは素晴らしいチームで、素晴らしいファンもいる。これは、僕にとって新しいチャンスなんだ。ガスペリーニのトレーニングは厳しいと聞いているけど、僕は仕事をするためにここへきた。ここで成長できると思う。今年の目標はアタランタでトロフィーを獲ること。僕にとって重要なことは、全ての試合に100%の力を注ぐことだ」などと意気込みを語っていた。ジャン・ピエロ・ガスペリーニの下で化ける可能性があり、新天地でのブレイクを予感させるデミラルの活躍に注目だ。

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