J1残留へのキーマンは、19歳の“ボール奪取王” ベルマーレの新2ボランチが示した可能性

出場停止から戻ってきた田中聡が、名古屋戦で気を吐いた(写真は6月20日の浦和戦)photo/Getty Images

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名古屋戦で奮闘

今年の明治安田生命J1リーグで17位に沈んでいる湘南ベルマーレは、15日の第24節で名古屋グランパスと対戦。[5-4-1]のコンパクトな守備隊形で名古屋を苦しめたものの、74分にコーナーキックから相手DFキム・ミンテにゴールを奪われ、0-1で敗戦。リーグ戦での連敗が“5”に伸びた。

J2リーグ降格圏からの脱出はお預けとなったベルマーレだが、光明が全く差し込まなかったわけではない。この日2ボランチを組んだ田中聡(19歳)と茨田陽生が、自軍の攻守を牽引。茨田は相手ボール時に田中と共に自陣バイタルエリアをまめに埋めたほか、44分に敵陣ゴール前で相手DF成瀬竣平のパスをカットし、ウェリントンにスルーパスを供給するなど、鋭い出足も見せていた。

また、この日のベルマーレは前節の鹿島アントラーズ戦と同じく、マイボール時に[5-4-1]から[3-1-4-2]への隊形変化を採用。この際に田中がアンカーとなり、後方で正確にパスを散らしたほか、36分には相手最終ラインの背後へ走り、FWウェリントンのパスを受けて相手GKランゲラックと1対1に。キム・ミンテのスライディングによりシュートを放つことはできなかったが、得点の予感が漂うプレイだった。
今季の同リーグ第23節終了時点で、チーム内トップのインターセプト数を叩き出している田中を、2ボランチの一角として常時起用する価値は充分にあるだろう(33回、データサイト『SofaScore』より)。今節も相手ボール時に自陣バイタルエリアで睨みをきかせ、名古屋の攻撃を外回りにさせることに成功。田中の存在が、中央でのパスワークを試みる相手チームにとって抑止力になっていたほか、タイミングの良いオーバーラップで、自軍の攻撃に厚みをもたらしていた。

この試合を見る限り、[5-4-1]の守備隊形を敷いた際と、マイボールになって隊形変化を行った時の田中と茨田の距離感も良好。どちらかが敵陣バイタルエリアへ侵入した際も、もう一方が後方のスペースをケアするという約束事も徹底されており、ベルマーレの攻守のバランスが保たれていた。非凡なボール奪取力と推進力のあるドリブルを併せ持つ田中と、直近のリーグ戦2試合で、攻守両面において高い献身性を示している茨田による“新2ボランチ”が、不振に喘ぐベルマーレを救うかもしれない。

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