チームの体を成していなかった森保ジャパン オマーン戦で見えた“3つの守備エラー”

攻守両面で振るわなかった日本代表。最終ラインを束ねる吉田麻也(左)や、最前線の大迫勇也(右)の奮闘も実らなかった photo/Getty Images

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早くも正念場を迎えた日本代表

カタールW杯のアジア最終予選が2日に行われ、グループBの日本代表がオマーン代表に0-1で敗れた。

[4-3-1-2]の陣形で守備を固めるオマーン代表に対し、効果的な攻撃を繰り出せなかった日本代表。マイボール時にどの選手がタッチライン際に張り、誰がハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)を狙うのかが、試合全体を通じて判然とせず。漫然とパスを回しては相手にボールを奪われ、何度もカウンターを浴びた。

攻撃面も然ることながら、この日は守備面の課題も浮き彫りに。選手同士の連係が悪く、自陣のスペースを埋めきれない場面が、少なくとも3つあった。
1つ目は、MFアルマンダル・アルアラウィのシュートを浴びた42分の場面。日本代表から見て右サイドでボールを保持したDFアリ・スライマン・アルブサイディに対してハイプレスを仕掛けるのか、それとも[4-4-2]の守備隊形で自陣に下がるのかの意思統一が、チーム内でなされていなかった。これにより、最終ラインと中盤が間延びしてしまった。

DF吉田麻也がアルアラウィのシュートをブロックして事なきを得たものの、この場面では最終ラインと中盤の選手でボール保持者を挟み込めていない。失点に繋がりかねない場面のひとつだった。

2つ目は、DF長友佑都が自陣ペナルティエリア内でハンドの反則を犯したとし、PKを告げるホイッスルが吹かれた51分の場面。右サイドでMFアブドゥラ・ファワズの対応にあたったDF酒井宏樹をフォローする味方選手がいないことが問題となった。

このシーンでは右サイドハーフの伊東純也が帰陣していたが、同サイドを駆け上がったアルブサイディの動きに釣られてしまったため、酒井が一人でファワズの対応をすることに。酒井をかわしたファワズがゴール前へクロスを送ると、このボールが長友の腕に当たった。

サイドバックとサイドハーフのどちらかがかわされた際に備え、ボール保持者の対応にあたっていないもう一人が後方のカバーリングをするべきだったが、それがなされなかった点を踏まえると、日本代表の守備が機能していたとは言い難い。長友の腕が胴体から離れていなかったとビデオアシスタントレフェリーによって判断され、主審によるオンフィールドレビューを経てPK判定が取り消されたのは救いだった。

試合終盤まで稚拙な守備を改善できなかった日本代表は、88分に失点。タッチライン際でボールをキープしたMFサラー・サイド・アルヤヒアエイに対し、ボランチの柴崎岳がサイドへ飛び出して守備を行ったため、ハーフスペースに立っていたMFアルシャド・サイド・アルアラウィがフリーに。同選手からのリターンパスを受けたアルヤヒアエイがクロスを送ると、これがFWイサム・アブダラ・アルサビのゴールに繋がった。

日本代表の失点の原因は、ボランチがサイドへ釣り出された際のハーフスペースのケアを、誰が行うのかが不明瞭だったこと。これが3つ目の守備エラーだ。

柴崎がハーフスペースに留まる、もしくは左サイドバックの長友がアルアラウィにもう少し厳しく寄せるべきだったが、この場面ではどちらもできていない。この日の日本代表は、攻守両面において詰めが非常に甘く、チームの体を成していなかった。

日本時間8日に行われる中国代表戦(同予選)で勝利を収めるためには、現時点で組織的とは言い難い攻守を改善する必要がある。早くも正念場を迎えた日本代表の森保一監督が、次戦に向けてどのような修正を施すのか。この点に注目したいところだ。

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