ジョルジーニョを封じられても大丈夫 36戦無敗のイタリアを支える、“盤石のホットライン”

好連係を見せたロカテッリ(左)とインシーニェ(右)photo/Getty Images

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多彩な攻めを見せた欧州王者

5日に行われたカタールW杯欧州予選の第5節で、スイス代表と0-0で引き分けたイタリア代表。MFジョルジーニョが蹴った53分のPKを相手GKヤン・ゾマーに阻まれ、その後もスイス代表のサイド攻撃を浴びたものの、最終ラインの面々が辛抱強くクロスを跳ね返し、勝ち点1をゲット。公式戦の連続無敗記録を“36”に伸ばしている。

試合は[4-3-2-1]の布陣を基調とするハイプレスと、[4-1-4-1]や[4-4-2]の陣形による自陣撤退を使い分けたスイス代表に対し、イタリア代表が自陣後方からパスを回すという構図に。

この日のイタリア代表の布陣はお馴染みの[4-1-2-3]で、アンカーのジョルジーニョを起点に攻撃を仕掛けようとしていたが、同選手をスイス代表の2シャドーの一角ジブリル・ソウや、3セントラルMFのひとりのミシェル・アエビシェールが捕捉。これにより、ジョルジーニョから相手の急所を突くパスが出なかった。
攻め手のひとつを封じられたイタリア代表を救ったのが、左インサイドハーフで起用されたマヌエル・ロカテッリ。この23歳のMFは、スイス代表が[4-1-4-1]の守備隊形を敷いた際に自軍の左センターバックと左サイドバックの間や、相手のワントップの脇のスペースへ降り、ビルドアップを手助け。このロカテッリの好判断により、イタリア代表は自陣後方からテンポ良くパスを回すことができた。

この試合でロカテッリが叩き出したロングパス成功数は、両軍の選手中2位の6本。味方のシュートに繋がったキーパスも両軍中最多の3本と、気を吐いている。相手のハイプレスをいなすロングパスや、守備隊形を揺さぶるサイドチェンジのボールは効果的で、19分にはFWドメニコ・ベラルディの決定機に繋がるロングレンジの縦パスを繰り出してみせた(数値はデータサイト『SofaScore』より)。

また、ロカテッリは左ウイングFWのロレンツォ・インシーニェとも好連係を披露。タッチライン際からハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)へ移動したり、センターサークル付近へ降りるインシーニェと近い距離感を保ち、密集地帯でボールを受けようとする同選手をフォローしていた。

象徴的だったのが、インシーニェがハーフスペースで惜しいシュートを放った35分の場面。インシーニェにスルーパスを送ったのがロカテッリで、このチャンスも同選手がタイミング良く敵陣ペナルティエリア手前へ走り、インシーニェの近くでプレイしたことで生まれている。

優勝を成し遂げた今夏のEURO2020でも、ハーフスペースやセンターサークル付近でボールを受け、相手のボランチや最終ラインの選手を引き付けるインシーニェの動きは攻撃面で良いアクセントになっていたが、ロカテッリとのコンビネーションも試合を重ねるごとに良くなっている。イタリア代表としては、盤石のホットラインを中心に多くのチャンスを作れているだけに、この試合で低かったシュートの精度を上げたいところだろう。

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