開幕からの勝率は驚異の“90%” ナーゲルスマン流でバイエルンはさらに進化した

今季からバイエルンの指揮を執っているナーゲルスマン監督 photo/Getty Images

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若手指揮官によって絶対王者はさらなる高みへ

開幕前はトレーニングマッチにおける不安な結果から、この若手指揮官の手腕に少しばかりの疑念を抱いていたファンも少なくなかったかもしれない。事実、2021-22シーズン開幕前にこなしたプレシーズンマッチ4試合で、バイエルン・ミュンヘンは一度も勝利を掴むことはできていなった(1分3敗)。ホッフェンハイムやRBライプツィヒで確かな実績を残したユリアン・ナーゲルスマン監督だが、今季は初めてのメガクラブ挑戦とあって勝手が違う。周囲に一抹の不安がよぎったのは無理もないことだったと言える。

しかし、いざシーズンが開幕してみればナーゲルスマン監督率いるバイエルンは絶好調だ。ブンデスリーガ開幕節のボルシアMG戦(1-1)こそ引き分けたものの、そのゲーム以外は全勝。ここまで公式戦10試合を終えて、9勝1分という驚異的なペースで勝ち星を積み上げている。独『Sport 1』によると、この就任以降10試合での戦績は歴代バイエルン指揮官のなかでも最高というのだから驚きだ。

加えて、その内容も圧巻なのがナーゲルスマン・バイエルンの称賛すべきポイントだろう。ここまでの10試合で同クラブが記録した得点数は実に「46」。3点以上を奪うことができなかった試合は、前述したボルシアMG戦しかないのだ。DFBポカール1回戦のブレーマーSV戦では12-0という衝撃的なスコアも記録しており、今季公式戦の1試合平均得点は驚異の「4.6」となっている。
そして、その一方では守備陣もきっちりと仕事をこなしている印象だ。圧倒的な得点力を見せつけているだけに大味な試合展開も少なくないかと思いきや、バイエルンが10試合で喫した失点は「6」。攻撃に比べればややインパクトは足りないかもしれないが、点差がついても集中して守れているのは好印象だ。少しでも相手が気を緩めれば、容赦なく実力差を見せつける。ハンジ・フリック前監督が率いた昨季までのチームの強かったが、ナーゲルスマン監督はそのチームをさらにアップデートさせたと言っていいだろう。そんな若手指揮官の手腕には、バイエルンのオリバー・カーンCEOも舌を巻く。

「ナーゲルスマンにチームを任せたのは信頼あってのことだったが、まさかここまで早くチームが完成するとは思わなかったよ。私も驚いているところだ。正直、もう少し時間がかかるかと思っていたけれど、彼は迅速に選手の特長を把握して自分のスタイルを叩き込んだね。この調子でチーム作りを進めることができれば、我々はもっと強くなるはずだ」(独『Sport 1』より)

就任からわずか3カ月弱で完璧に前任者のバトンを引き継いだナーゲルスマン監督。はたして、ついに目がクラブへと辿り着いた欧州屈指の若き戦術家は、今後バイエルンをどこまで圧倒的な存在へと引き上げていくことになるか。バイエルンが遂げるさらなる進化には大いに期待したい。

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