2021-22シーズン、インテルから他クラブへ武者修行に向かった若者は、もうひと回りスケールの大きな選手となることができるのか。期待の若手と呼ばれつつも、今年5月ですでに22歳。昨今のサッカー界では決して若くないと言える年齢となっただけに、そろそろFWアンドレア・ピナモンティの覚醒には期待したいところだ。
とはいえ、それが実現する日は近いのか。今季エンポリにレンタル移籍しているピナモンティは、武者修行先で大きな成長の予感を漂わせている。昨季こそインテルではロメル・ルカクとラウタロ・マルティネスの牙城を崩すことができずに出場機会がほぼなかった同選手だが、新天地での歩みは上々。移籍直後のリーグ戦3試合こそベンチスタートとなったものの、以降は最前線の定位置をガッチリと確保している。
まだ粗削りな面はたしかに残る。しかし、エンポリでは2トップを組むFWパトリック・クトローネとともに両サイドへ開く動きに磨きがかかっており、そのプレイには幅が出てきた印象だ。中央に構えてワンタッチゴールを狙うこともできれば、自身が積極的に動いて味方のパスも引き出せる。まだフィニッシュの精度に課題が残ることもあって得点数は4ゴールとこれからだが、FWとしては着実に洗練されてきていると言っていいだろう。そんななか、本人も今回のエンポリ移籍に関しては相当気合が入っていると次のように語っている。
「以前に向かったレンタル移籍よりも、今回は強い意識を持ってエンポリに来たんだ。昨季はコンテの下でプレイして、メンタル的に相当強くなったと思う。それまでとはまるで別人のようになったと感じるね。それから、ルカクやラウタロ、サンチェスも僕に助言をしてくれた。とても幸せだったし、今回のレンタルはそういった成長の糧を無駄しないようにしたいんだ。そのためにも、このクラブが最高の場所だと思っているよ。今季は二桁ゴールを目指したいね。できる選手になっていると思うし、必ず達成したい」(伊『Leggo』より)
昨季1年間、強力なライバルたちと共闘したことで、ピナモンティには目指すべきレベルを明確に認識することができたようだ。今季彼はプレイの幅を増やしているのは、こうしたなかで自分の武器を少しでも増やしたいという意思の表れか。
まだ数字に残る結果はこれからだが、少しずつ着実に成長してきているピナモンティ。はたして今季、彼はどれだけの武器をエンポリで新たに獲得してくることとなるか。まずレンタル先で二桁得点を達成し、来季は満を持してインテルへと帰還したいところだ。