かつて“ランパードの後継者”と呼ばれた男 チェルシーを去ったテクニシャンはオランダで復活へ

今季はPSVを主将として力強く牽引しているファン・ヒンケル photo/Getty Images

ブルーズでは覚醒できなかったが

かつて“フランク・ランパードの後継者”になると大きな期待をかけられ、チェルシーに舞い降りた逸材MFがいたのを覚えているだろうか。その逸材MFとは、2013年夏にフィテッセからやってきたマルコ・ファン・ヒンケルである。

エールディヴィジで若くして印象的な活躍を披露し、鳴り物入りでチェルシーへとやって来たファン・ヒンケル。優れたキック精度と強靭なフィジカルを武器に、数年後はブルーズの中盤を支配できる。獲得当初、多くのファンは彼にそんな期待を寄せていたはずだ。

しかし、オランダ産のテクニシャンがロンドンで輝くことはなかった。ファン・ヒンケルは移籍初年度となった2013-14シーズンにいきなり膝の前十字靭帯断裂の大怪我を負うと、その影響でシーズンの大半を棒に振る。その後は他クラブにレンタルされる日々を繰り返し、いつのまにかチェルシーでは“忘れられた存在”に。そして、今夏にはついにPSVへと完全移籍で放出されることとなった。在籍8年間でブルーズにおける出場はわずか4試合。備えているポテンシャルは高かったが、イングランドでのキャリアは怪我に泣かされることとなっている。

だが、ファン・ヒンケルは慣れ親しんだオランダの地で復活を果たすのか。今季の同選手はPSVで開幕から主将を任されると、中盤の要として印象的なパフォーマンスを披露している。データサイト『SofaScore』によると、2021-22シーズンにここまでリーグ戦10試合に出場しているファン・ヒンケルは、ドリブル成功率(63.63%)や地上戦勝率(56.36%)、空中戦勝率(88.46%)で非常に優秀なスタッツを記録中。これらはいずれも今季10試合以上に出場しているMFのなかでチームトップの数字だ。こうしたデータを見ても、今季におけるファン・ヒンケルの好調ぶりは際立っており、PSVにとっては欠かせない戦力となっていることはわかる。

チェルシーに在籍した8年間は少々苦しい時間を過ごしてしまったが、今季はPSVで主軸として大いに機能しているファン・ヒンケル。ビッグクラブでの挑戦はほろ苦い思い出となってしまった。しかし、28歳のMFはオランダで華麗なる復活を遂げようとしている。

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