複数の出来事が重なって起きた奇跡 今のプレミアで「ミラクル・レスター」の再現は厳しい

レスターで奇跡を起こしたクラウディオ・ラニエリ photo/Getty Images

日本代表の岡崎慎司が所属していた

昨季はプレミア5位と健闘し、CL圏内まであと一歩のところまで迫ったレスター・シティ。今季は昨季ほどうまくいっていないが、マンチェスター・ユナイテッドを倒すなど、強豪を倒せる力は持っており、巻き返しに期待だ。

そんなレスターだが、やはり15-16シーズンのリーグ優勝から一気にクラブの格が上がったといえる。

クラウディオ・ラニエリ監督が就任し、シーズン当初はプレミア残留を目標に掲げていたレスターだが、チームのエースであるジェイミー・バーディが11試合連続ゴールを記録するなど躍動し、前半戦を2位で終えた。その後も現チェルシーのエンゴロ・カンテや現マンチェスター・シティのリヤド・マフレズらが能力の高さを見せ、好調を維持。終盤は少し失速したが、勝ち点を重ねてクラブ史上初となるプレミアリーグのタイトルを獲得している。この偉業達成に各メディアからは「ミラクル・レスター」と称賛されている。

このように強豪集まるプレミアリーグを制したレスターだが、2シーズン前にはイングランドの実質2部であるチャンピオンシップでプレイしており、今では考えられない出来事だ。もちろん、その後イングランド代表に選ばれたバーディや彼の相方である岡崎慎司、カンテ、マフレズ、カスパー・シュマイケルと逸材だらけであったのだが、同時期にプレミアを代表するクラブが不調に陥っていた。

15-16シーズンの最終順位表を見ると、今のプレミアで優勝を争うマンCは4位、リヴァプールは8位、チェルシーは10位に沈んでしまっている。

シティはまだジョゼップ・グアルディオラが来ておらず、レッズはようやくユルゲン・クロップがシーズン途中から指揮官に就任した。ブルーズにはスペシャルワンことジョゼ・モウリーニョがいたのだが、成績不振で解任されており、今のような強さはなかった。また、今のプレミアリーグでは中堅クラブが上位相手に健闘することは多いが、当時はサウサンプトンやウェストハムくらいしかそういったジャイアントキリングを起こせるチームがいなかったのが、レスターに追い風となったか。

前半戦のロケットスタートをシーズン終盤まで継続した当時のレスター。だが、今のプレミアリーグではどのクラブも力を付けており、何より上位のクラブはCLでも結果を残すようになってきている。当時はレアル・マドリードがCL3連覇するなどスペイン全盛の時代であったが、今のイングランドのレベルの高さは当時の比ではなく、「ミラクル・レスター」の再現は難しいか。

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