[西岡明彦]これもコロナ禍の影響か 監督交代が多すぎる異常事態

プレミア最強ガイド #84

開幕3連勝を飾るも、トッテナムのヌーノ政権の勢いは続かなかった photo/Getty Images

 開幕して11試合、プレミアリーグでは早くも5人の監督がクラブを離れました。今月に入ってから1週間で3人が解任されるという異常事態、何が起きているのでしょうか。

 今季の指揮官交代は10月3日にワトフォードのシスコ・ムニョスが解任されたのが最初でした。同月20日にはサウジアラビア資本に変わったニューカッスルがスティーブ・ブルースと決別、後任にはボーンマスで長く指揮を務めていたエディ・ハウが就任しました。今月には1日にトッテナムのヌーノ・エスピリト・サントが就任わずか4カ月で解任されアントニオ・コンテを招聘。6日、ノリッジは開幕前に契約延長していたダニエル・ファルケを解任、シーズン初勝利を挙げた数時間後のサプライズでした。翌7日にはアストン・ヴィラがディーン・スミスの退任を発表。リーグ5連敗を受けての決断でした。

 ディーン・スミスが解任されたことで、監督の退任数が早くも昨季を上回り、2013-14と17-18シーズンに起きた10人が退任という激動のシーズンに匹敵する状況になっています。ここ2シーズンは11月の代表ウィーク前までに退任した監督は1人、今季の5人という数字はファンがスタジアムに戻ってきたことやクラブの経済的なプレッシャーなど幾つかの要因はあると思いますが、決断が早くなっているのは事実です。

 昨季、アーセナルのミケル・アルテタはリーグ7試合勝利なしと苦しい時期がありましたが、幸いにも無観客試合だったためにスタジアム内に不穏な空気は流れませんでした。スパーズのヌーノ監督にとって気の毒だったのはホームでチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドに大敗し、スタンドからブーイングされたことも影響したのではないかと感じています。

 ただ、監督交代でチーム成績が好転したケースは、実はそれほど多くありません。19-20にマウリシオ・ポチェッティーノからジョゼ・モウリーニョに切り替え、順位が14位から6位に上昇したトッテナムのケースは稀で、ここ2シーズンで順位を2つ以上上げることに成功したのは、19-20にマルコ・シルバからカルロ・アンチェロッティに変更し18位から12位に上がったエヴァートンと、昨季フランク・ランパードからトーマス・トゥヘルに変更し9位から4位に上がったチェルシーぐらい。チャンピオンズリーグを制覇したので記憶に残る成功例ですが、シーズン途中の監督交代でチーム成績が劇的に変化することは珍しいのです。

 早くなった指揮官交代のサイクル、これもコロナ禍による影響と言えるのではないでしょうか。

文/西岡 明彦

※電子マガジンtheWORLD263号、11月15日配信の記事より転載

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