南野のウイング起用はハマらない 今後も[4-3-3]継続なら気をつけたい“注意点”

オマーン戦での前半で左ウイングとして起用されるも、インパクトを残せなかった南野 photo/Getty Images

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オマーン戦の前半は今後の糧にすべし

現地時間16日に行われたカタールW杯・アジア最終予選のオマーン代表対日本代表。森保一監督率いる日本代表は、81分にFW伊東純也が決勝点を挙げ1-0で勝利を収めた。これにより、サムライブルーはW杯ストレートイン圏内の2位に浮上。カタール行きに向けて、貴重な白星となった。

しかし、このオマーン戦における勝利を手放しで喜んでもいられない。なんとか勝利を手にしたはいいものの、前半戦の日本は相手が敷く守備網をなかなか突破することができずに攻めあぐねることとなった。結果的に勝ち点3をゲットこそしたが、どこかスッキリしないゲームだったことは否めない。では、日本は前半戦のオマーンに対して、なぜ攻め手を欠いたのか。ひとつ大きな要因として考えられるのは、ここのところ採用している[4-3-3]システムの短所だ。

同システムを採用するうえで、最も強みとなるのは選手個々の距離がほぼ均等になること。ボール保持時に各プレイヤーが自然に三角形を形成することができる点は、大きなアドバンテージと言えるだろう。だが、その一方で[4-3-3]は使い方次第で相手が対策を取りやすいシステムでもある。選手間の距離が均等にバランス良く配置されているという点で、選手は無理に動かなくても味方と一定の距離感を保つことができる。しかし、それゆえ攻撃時に前線の流動性が落ちることも少なくはない。その結果として、相手はプレスを掛けやすくなってしまうのだ。
そこで、重要になってくるのは突破力のあるウイング。先述した前線の停滞を解消するためにも、積極的にドリブルで仕掛けることができる選手は、このシステムにとって必要不可欠な存在だ。[3-4-2-1]や[4-4-2]といったシステムと違い、[4-3-3]は基本的にサイドアタッカーとサイドバックの距離感が遠い。ウイングが後ろからのサポートを受けられる機会がそれほど多くない点も、突破力のある選手が重要となってくる理由のひとつだ。

しかし、このオマーン戦に左ウイングとして先発した南野拓実は、基本的に中央で味方と絡みながら状況を打開していくことを得意とするプレイヤー。サイドから個人で仕掛けて突破を図るシーンは少なく、サイドに深みを出すことができなかった。ゆえに、前半は左サイドの攻撃が停滞してしまったのだろう。後半に三笘薫が投入されてから日本にリズムが生まれてきた点を考えても、前半に攻め手を欠いたのはこうした[4-3-3]を採用するうえでのポイントを押さえきれていなかったことが原因か。

[4-3-3]のシステムを採用すること自体は決して悪くない。実際、ここ最近で日本代表に招集されているメンバーは、川崎フロンターレ勢をはじめ同システムでのプレイに慣れている選手も多い。しかし、たとえどんなシステムでも、しっかりと使いこなせなければその効果は半減してしまう。その点、このオマーン戦はそれを改めて思い出させてくれる良い機会になったことだろう。もし日本代表が今後も[4-3-3]を継続するのであれば、今回のほろ苦い経験を活かしてほしいところだ。

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