[MIXゾーン]大一番で物を言った、ポヤトス監督の“準備力” ヴォルティスが自慢のパスワークでベルマーレ幻惑

複数の攻撃パターンを自軍に落とし込み、大一番での勝利を手繰り寄せたポヤトス監督 photo/Getty Images

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多彩な攻撃を披露

明治安田生命J1リーグの第37節が27日に行われ、15位の湘南ベルマーレと17位の徳島ヴォルティスが対戦。

66分にヴォルティスがコーナーキックのチャンスを迎えると、宮代大聖のミドルシュートのこぼれ球に岸本武流が反応し、先制ゴールをゲット。その後のベルマーレの猛攻を凌いだヴォルティスが、1-0でJ1残留争いの大一番を制している。

ヴォルティスの勝因は、中盤の底の岩尾憲が相手のマークに晒されることを想定し、ダニエル・ポヤトス監督が同選手を経由しない攻撃パターンを準備していたことに尽きるだろう。
基本布陣[4-1-2-3]のヴォルティスは、相手の2トップの一角タリクが岩尾に張り付いていると見るやいなや、自陣後方からのロングパスでベルマーレのハイプレスを回避。長身のセンターFW垣田裕暉や、西谷和希と宮代の両ウイングFWへのロングパスで敵陣深くに起点を作り、ベルマーレを押し込んでいた。

また、自陣後方でボールを保持した際に岸本と田向泰輝の両サイドバックが高い位置をとりすぎなかったこと、加えて藤田譲瑠チマと鈴木徳真の2インサイドハーフが適宜最終ライン付近まで降りたことで、[3-1-4-2]の布陣のベルマーレの2インサイドハーフ平岡大陽と茨田陽生を釣り出すことに成功。

2インサイドハーフが釣り出されたベルマーレは、陣形が間延びしたことで中盤の底の田中聡の両脇のスペースを埋めきれず、ここをヴォルティス陣営に突かれる場面が多かった。

「基本的に全チームが岩尾のところを消してくるので、(ベルマーレの守備は)衝撃的なものではありませんでした。今日に関しては、田向と岸本を(有効に)使った攻撃というのを準備していましたし、相手を押し込むことはできていたと思います」(ポヤトス監督)

「相手が良いオーガナイズ(組織的な守備)をしてくるなかでギャンブルのようなプレイを選択するのではなく、焦れずにプレイすればどこかでチャンスが来ると思いながら様子を見ていました。後半が始まってすぐに、相手のペナルティエリアまでボールを運ぶ場面を作れたので、前半のジャブが効いたのかなと思います」(岩尾)

65分には、左サイドバックの田向がセンターサークル付近から西谷へ縦パスを供給。その後宮代と西谷によるパス交換で敵陣左サイドへ侵入したことでコーナーキックを獲得し、これがヴォルティスの先制ゴールに繋がっている。ポヤトス監督と岩尾が試合後の会見で振り返った通り、ヴォルティスの多彩な攻撃が物を言った一戦だった。

今節での勝利により、最終節を前にベルマーレと勝ち点36で並ぶことに成功したヴォルティス。J1リーグ残留圏内(16位以内)への浮上に向けて光明が差し込んだ同クラブが、最終節で奇跡を起こすかもしれない。

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