欧州5大リーグの中で、フランスのリーグ・アンの実力は何番目だろうか。おそらく多くのサッカーファンはリーグ・アンを5大リーグの中でも最低ランクのリーグと考えているだろう。
今の5大リーグをランク付けするなら、トップはイングランドか。バルセロナとレアル・マドリードがチャンピオンズリーグを支配していた2010年代はスペインが1番だったと言える。そこに続くのがドイツ、イタリアというのが2010年代からのサッカー界だ。
リーグのレベルを判断するうえで1番分かりやすいのはチャンピオンズリーグでの成績だろう。フランスのクラブが最後にチャンピオンズリーグを制したのは、1992-93シーズンのマルセイユまで遡る。21世紀に入ってからは2003-04のモナコ、2019-20のパリ・サンジェルマンと2クラブがファイナルまで進んだが、どちらも準優勝に終わっている。チャンピオンズリーグでの成績を考えると、やはりリーグ・アンの実力は他の4リーグより劣る印象だ。
しかし仏『L’Equipe』によると、かつてフランスのリールでもプレイした元イングランド代表MFジョー・コールは確実にリーグ・アンのレベルが上がっていると主張する。これまでサッカーファンが抱いてきた印象とは変わりつつあるのかもしれない。
「リールへ移籍した時、私が想像していたよりもリーグのレベルは遥かに高かった。そしてリーグ・アンは進歩を止めていない。プレミアリーグよりは後ろにいるが、私はリーグ・アンをブンデス、セリエA、リーガと同列に見ているよ。当時私はフランスでプレイする若手DFに驚いたよ。一緒にプレイしたリュカ・ディーニュ、対戦したクルト・ズマ。私はプレミアの知人に連絡したよ。彼らをすぐに獲得した方がいいとね。リーグ・アンのフィジカルはプレミアに近いものがあるんだ。フランスで上手くやれているなら、イングランドでそれができない理由はない。だからこそ、今はプレミアの複数クラブがリールのスフェン・ボットマンを見ているよね」
パリ・サンジェルマンに豊富な資金が流れ込んだことで、リーグ・アンの環境が変わったのは間違いない。メガクラブとなり、欧州の頂点を本気で狙っているパリと、何とかそれに対抗しようとするリールやモナコといった第2集団が切磋琢磨することでリーグ全体のレベル向上に繋がっているとも言える。
まだチャンピオンズリーグ制覇を狙えるのはパリくらいだが、今季ヨーロッパリーグではリヨン、モナコが無敗でグループを通過している。彼らには頂点を狙うだけの力があるのではないか。決して甘く見ることのできないリーグに変わってきているのは事実で、この流れを止めることなくブンデスやセリエAに近づいていきたいところだ。