大きかったマウントのブレイク チェルシーの“若手育成”イメージに変化

すぐにチェルシーの主力となったマウント photo/Getty Images

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アカデミーを信頼する動きが強まる

以前からチェルシーの育成部門は評価が高かったが、アカデミーで育った選手になかなか出番が回ってこないという問題点があった。若い選手が出番を求めてクラブを離れるケースも少なくなかったが、その状況は少しずつ変わってきているのだろうか。

英『BBC』は選手の育成に対して指揮官の在任期間が短すぎると指摘していた。21世紀に入ってからでは、2000年から2004年まで指揮したクラウディオ・ラニエリが最長であり、2シーズンほどで指揮官が交代していく流れが続いている。これはクラブが早期の結果を求めているからで、結果的に指揮官は若手育成に力を回す余裕がなくなってしまう。潤沢な資金力を武器に他クラブから即戦力を引っ張ってきた方が早いのだ。

しかし、そうした流れが変わりつつある。1つのきっかけとなったのは、FIFAより下された補強禁止処分だ。2019-20シーズンは開幕前の補強ができず、その影響もあって指揮官フランク・ランパードはアカデミー出身の若手に出番を与えることになった。
MFメイソン・マウント、FWタミー・エイブラハムなど、これが思いの外ヒットとなった。エイブラハムもFW1番手と考えるには物足りないかもしれないが、2019-20シーズンはプレミアリーグで15得点を記録している。想像以上の働きだったと言っていい。

中でもマウントのブレイクは大きい。ダービーカウンティにレンタル移籍していた頃より優秀な選手ではあったが、チェルシーで結果を出したことから昨夏のEURO2020でもイングランド代表の主力となった。この急成長ぶりを見れば、チェルシーサポーターも自分たちのアカデミー部門をもっと信用すべきと考えるだろう。

結果的にはマイナスだった補強禁止処分からアカデミーの選手に注目が集まるようになり、ランパードの後を受けた現指揮官トーマス・トゥヘルもDFトレヴォ・チャロバーなど積極的に若手へ出番を与えている。今ではクリスタル・パレスにレンタル移籍している22歳のMFコナー・ギャラガー、サウサンプトンにレンタル移籍している20歳FWアルマンド・ブロヤのアカデミー出身者2人にも注目が集まっており、彼らが次なるカムバック組としてブレイクする可能性は高い。

一方でFWロメル・ルカク、ティモ・ヴェルナーなど高額な資金を投じて獲得した選手が苦戦しており、以前のような札束攻勢ばかりが正しいというわけでもないのだろう。今後は世界最高峰のアカデミーを抱えるクラブとして、若手へ積極的にチャンスを与えていくシステムを作っていくべきだろう。

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