PSGから離れてゆく選手の心 ハキミの退団希望から見える“チーム崩壊”の懸念

今季限りでPSGからの退団を希望しているとされるハキミ photo/Getty Images

昨夏は“新・銀河系軍団”の結成に湧いたが

2021年夏、FWリオネル・メッシを筆頭に欧州各方面から多くの実力者を獲得したパリ・サンジェルマン。まさに本気度が表れた補強と言ってよく、開幕前はサッカーファンの誰もが“新・銀河系軍団”の結成に胸を躍らせたはずだ。

しかし、そのチームはわずか1年で崩壊してしまうのか。かねてより「個人の集団であって、チームの体をなしていない」との指摘も多かったPSGだが、それは戦術的な問題だけにとどまらないのかもしれない。

今季加入したばかりのモロッコ代表MFアクラフ・ハキミがわずか1年での退団を希望しているとの報道からも、その一端は垣間見える。仏『FootMercato』によると、同選手はPSGのロッカールームで窮屈さを感じているようで、現在は夏のマーケットにおける移籍の道を模索しているとのこと。どうやら、彼は現時点でマウリシオ・ポチェッティーノ 監督の起用法に不満を持っており、南米出身選手たちとの関係にも溝が入っている状況だという。加えて、「数少ない友人関係だったFWキリアン・ムバッペにも移籍の噂が浮上しており、来季もPSGに残る意味はないと感じているようだ」と同メディアは伝えている。

ロッカールームにおける亀裂は外部の人間にはわからない。しかし、ポチェッティーノの監督の起用法に不満を持っているというのは納得できるところだろう。彼の攻撃力を最大限生かそうとするのであれば、ベストなポジションは右ウイングバックのはず。だが、システムとの兼ね合いもあり、今季のハキミはより後方から攻撃参加を行うサイドバックを任されている状況だ。加えて、前方には守備の不得意なメッシがおり、同選手は自慢の攻撃力を発揮できるチャンスが減少している印象は否めない。

はたして、自分はこのチームにいる意味があるのだろうか。現状、ハキミがそんな疑問を抱いている可能性は低くない。そして、彼以外にも指揮官の方針やロッカールームの雰囲気に不満を持っている人物がいてもおかしくない状況だ。大金を投じて選手補強に乗り出したものの、選手の気持ちがまとまっていないPSG。はたして、彼らはここからどのようにしてチームを立て直してくるのだろうか。まずはハキミの引き留めに務めたいところだが、その運命やいかに。

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